1991年に『Blue』が東京都から不健全図書の指定を受け、版元回収となって以降も、一切怯むことなく過激な性表現を追求し続けてきた漫画家・山本直樹。コミック規制の中心部に立つ存在として知られている山本氏だが、ネット上などで「表現の自由戦士」と呼ばれる反表現規制論者たちへの態度は冷ややかでもある。氏の考える“表現の自由”と“性表現の有り様”とはいったい、どのようなものなのか。怒涛の後半戦――。
当記事は後編です。【前編記事「漫画家・山本直樹はなぜ反表現規制論者に冷ややかなのか【前編】」はこちら】
ツイッターの裏垢で動画漁り
――ツイッターのせいで、いろんな主義主張の人たちが先鋭化、カルト化しているところもあると思うのですが、山本さんはツイッター、どう思いますか。
山本直樹(以下、山本) 楽しいですよ。表も裏も。
――裏垢をお持ちなんですね。何用なんですか。
山本 そっちはね、取り締まられて然るべきアカウントを見てます。
――えっとそれは裏垢女子とかそういう……。
山本 最近は動画があがっても半日くらいで凍結しちゃうんだけどね。だからすぐに保存してる(笑)。一度、表のアカウントでうっかりいいねをしてしまって、誰かが「こんなのに山本直樹がいいねしてる」って晒していたので、それをあえてリツイートしたりとか。
――楽しいインターネットの使い方ですね(笑)。山本さんの作品のテーマのひとつにカルトがあると思います。そういう意味で「表現の自由戦士」たちも、興味深い存在でしょうか。
山本 変な人たちはつい目がいっちゃうところはあります。80年代からいたけどね。漫画仲間とかでも、いわゆるオタクっていう言葉ができるかできないかくらいから、ネトウヨ的なのもいたし、カルトにハマってる人もいた。主に平井和正経由なんですけれども。オウム神仙の会の頃の麻原に話を聞きにいったことがある人とか。だからすごく題材にしがちだよね。『ビリーバーズ』とか。
――今夏には映画化もされましたね。
山本 あれはすごいタイミングだった。封切り日に安倍元首相が殺されたっていう。映画『ビリーバーズ』の中で殺されたのは僕だったけども(笑)。