第500回 八代亜紀さんの歌う『山谷ブルース』
世の中どうなってるの? と思ってしまうくらい、相変わらず年始からいろいろなことが起こる2024年だけど、1月9日に公表された(亡くなったのは昨年12月30日とのこと。年末年始だったことや年明けすぐに地震や飛行機事故が起こったことから、おそらく公表を控えていらしたのね)、演歌歌手・八代亜紀さんの訃報も、アタシ的には大ショックだったわ。
アタシが八代亜紀さんの存在を初めて知ったのは、8歳のとき。その年、『雨の慕情』が大ヒットし、アタシもよく、振りを真似つつ歌っていたわ。ただ、当時は、八代さんに漂う「夜の女」感と、キリッとしたお顔立ちに、少し「怖そう」「近寄りがたい」というイメージを持っていたの。
その後はしばらく、紅白歌合戦等で歌っているお姿を見るだけだったアタシだけど(ただ、時々バラエティとかに出演されているのを拝見して、「フランクな方だったんだな」と思うようになった)、「八代亜紀、めちゃくちゃいいッ」と興奮したのが、2012年にリリースされた『夜のアルバム』を聴いたとき。これは、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんがプロデュースされた、ジャズのカバーアルバム。小西さん、以前夏木マリさんのアルバムなどもプロデュースされていて、それが大好きだったので、「『夜のアルバム』も絶対に素敵なはず」と思って聴き始めたんだけど……期待をはるかに超える素晴らしさだったの! 八代さんが、もともとは熊本のキャバレーや銀座のクラブで歌っていらしたというのはなんとなく知っていたけど、あの声で歌われるジャズがあまりにもかっこよくて、アタシ、しばらく友だちにすすめまくっていたわ。