3月10日、第96回米アカデミー賞授賞式にて、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞した。これは、邦画のみならずアジア映画で初の同賞受賞という快挙である。それでは、いまだ配信されてないこの映画、いったいどんな内容なのか。気鋭のライター・秋ゲルゲ康本による評論記事を、『実話BUNKAタブー』2023年9月号から転載する。
「そうはならんやろ」の高速オンパレード
『シン・ゴジラ』は現代の技術で最高のゴジラ作品を作り上げたが、『ゴジラ-1.0』はそこからさらに、昭和のダメとされていた部分を復活させた傑作である。
冒頭からゴジラの精子みたいなのが現れるが(一応深海魚らしい)、これが『ごっつええ感じ』のコントの小道具みたいな手作り感。これは特撮らしさを出すためにあえて安っぽくしているはず。CGの部分もCGだとバレバレで、なんだか懐かしい気持ちになった。
パニックシーンもダサ凄い。
銀座襲来では「そうはならんやろ」の高速オンパレード。「あなたは逃げて」と主人公を押し除けた浜辺美波がゴジラにぶっ飛ばされて死ぬシーンとか、漫☆画太郎の世界観だ。ネタバレになるが、ラスト浜辺美波が病室でニッコリ笑って佇むシーン(実は生きていた!)もアホすぎて感動した。昭和の特撮のデタラメさを見事に蘇らせてやがる。これをディスるのは、本当にピュアで真面目な人なのだろう。
唯一、ガチでキツかったのが、神木隆之介の演技。『ガンダム』のアムロみたいなダメ男の役だから、不快なのは仕方ないにせよ、棒読みで、台本そのままやってる感じ。他が個性派俳優揃いだから、それが顕著だった。顔が老けたし存在価値ゼロ。あの大根演技さえなければ…。
文/秋ゲルゲ康
画像/「『ゴジラ-1.0』ポスタービジュアル(C)2023 TOHO CO., LTD.
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