定番・名作と呼ばれる漫画は、実のところだいたいの人が読んでいないものだ。そこで今回はあえて定番漫画縛りで有識者が作品をチョイス。その魅力を語ってもらった。今回はD.Oさん。
「この定番漫画がとんでもない」ロマン優光のTOP3
「この定番漫画がとんでもない」竹内義和のTOP3
「この定番漫画がとんでもない」劇画狼のTOP3
「この漫画のこのキャラがヤバい」サムソン高橋のTOP3
「この漫画のこのキャラがヤバい」虫塚虫蔵のTOP3
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PROFILE:
D.O(ディー・オー)
ラッパー。KAMINARI-KAZOKU.のメンバーとしての活動を皮切りに、練マザファッカーのリーダーなどで活躍。最新アルバム『Rain』発売中。
X:@DO_Doggruncafe
D.O(ディー・オー)
ラッパー。KAMINARI-KAZOKU.のメンバーとしての活動を皮切りに、練マザファッカーのリーダーなどで活躍。最新アルバム『Rain』発売中。
X:@DO_Doggruncafe
デケえヤツにも屈しない精神を教えてくれた
俺からしたら、オサム・テヅカを通んねえで漫画語ってんじゃねえよってハナシ。それ級に手塚作品は漫画シーンの根っこを張ってるわけ。
とりあえず、『火の鳥』『ブッダ』は外すわけにはいかない。残り1つをブチ込むとしたら……その2作品より読んでいる『ブラック・ジャック』になるかな。
『火の鳥』の最後のほうの話は俺の両親が虫プロで働いていた関係で、内部の声を聞いたことがある。「終わんねえ」「辿り着かねえ」って。『火の鳥』って、手塚先生の駆け出しの頃から構想してたのかなって俺は思ってるけど、先生本人にしても未解決のまま終わってるんだよね。でも結局は、それが〝答え〟なんじゃねーの? 『火の鳥』が呈示するブツをカスタマー(読者)がキャッチして、一緒に考えて、共有するわけ。その当時としてはとてつもないことよ。いまだに読めば読むほど気づかされる大作だぜ。
今の漫画で、『火の鳥』イズムを感じさせるのが、『刃牙』シリーズ。幼少期だったりクローンの宮本武蔵と戦ったりで、スピンオフで今なお続いている。つまりは、〝漫画が永遠の命を手に入れた〟ってわけ。手塚イズムは、このストーリーの終わりのなさもそうだし、『刃牙』から感じられる〝自由さ〟もそう。
漫画にはルールもなければ、正解もねえのよ。これは我々のヒップホップにも通じるところ。それをカスタマーにジャッジしてもらうのが漫画家の生業であり、仕事ってハナシ。
『ブッダ』なんて留置所に置いてたら、みんな穏やかになるんだから。仲間が不自由になったときもマストで「読めよ」って渡すね。もし誰かがさらわれたら、「俺が身代わりに行きますか?」ってなっちゃう(笑)。そんくらい倫理観が変わって、鬼ピースになるのが『ブッダ』なわけ。