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「この定番漫画がとんでもない」ロマン優光のTOP3

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定番・名作と呼ばれる漫画は、実のところだいたいの人が読んでいないものだ。そこで今回はあえて定番漫画縛りで有識者が作品をチョイス。その魅力を語ってもらった。今回はロマン優光さん。

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
X:@punkuboizz

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唐突に入る陰惨な血まみれシーン

有名作とは、内容がよく知られ広く語られている作品というわけでは必ずしもない。とんでもない部分、とんでもない作品、存在自体のとんでもなさが見過ごされていることだってある。

たとえば、『リングにかけろ』(車田正美)。

バトル漫画の原型を築いた超名作である 「リンかけ」といえば見開きで繰り広げられるド派手で荒唐無稽なスーパー・フィニッシュ・ブロウ! しかし、当初は「母の再婚相手に虐待を受けていた高嶺姉弟が家を飛び出し、ボクサーだった亡き実父の意思を受け継いで世界チャンピオンを目指す」という現実的なボクシング漫画だった。

それが「ジャンプ三大SF」の一つと呼ばれるまでになり、初期の重苦しいイメージが完全に消えていた。そんな最終回前、ライバル・剣崎順との試合をひかえた主人公・高嶺竜児は里帰りをする。

自分たちを虐待し、母を死ぬまでこきつかいながら働かせて自分は遊び暮らしていた、義父・富造と偶然遭遇。ゲスの化身・富造に亡き母を侮辱された竜児は富造をボコボコに。

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泣きわめく酔っ払いの薄汚い老人を血まみれになっても殴り続けるリアルな暴力シーンがとんでもない。

パンチ名を叫ぶと相手が宇宙をバックに空高く舞い上がり地面に頭から叩きつけられる。そんなバトルシーンに慣れきっていたのに、いきなり突きつけられる生々しい暴力。最終回前に全ての物語を回収にきた車田先生の誠実さは理解できるが 爽快感とはほど遠い陰惨な雰囲気にとまどいを隠せない。

初期の『リンかけ』は一升瓶で子供の顎の骨を砕いたりするような陰惨なシーンやリアルな貧困描写が多く、路線変更後のイメージでみると驚くのだが、ラスト前に初期テイストがいきなり復活するのは本当に居心地が悪かった。

あと、忘れられがちだが後年の車田作品のイメージと違い『リンかけ』は女性キャラが可愛い。

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