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PROFILE:
植地毅(うえち・たけし)
専門分野はジャンル映画、漫画、ゲーム、反体制音楽などボンクラ趣味全般の五十路売文家兼デザイン業。座右の銘は「橋のない川に橋をかけるのが男の仕事」。
X:@DEADANDBURIED5
まことがフォークギターの衝撃
今月のお題は「大長編マンガ」ということなので、今回も筆者の得意分野であるグルメマンガ(以下、グル漫)で打線を組んでみた。
大長編グル漫といえば、『美味しんぼ』(雁屋哲/花咲アキラ)、『クッキングパパ』(うえやまとち)、『江戸前の旬』(九十九森/さとう輝)の三大作品がいずれも単行本100巻超えだが、本稿では、これまであまり考察されなかった、三大長寿グル漫に共通する延命システムについて触れてみたい。
現在111巻で休載中の『美味しんぼ』は、バブル突入直前に始まり平成末期の大災害にて一応の最終回を迎えたが、その間に山岡は栗田ゆう子と結婚して3児の父に…ということは、海原雄山には孫が3人もいる事実に気づいた時は、ちょっと衝撃的だった。
『江戸前の旬』は、既刊124巻と四半世紀に渡る連載により主人公・柳葉旬は修行を経て立派な親方に成長し愛娘も誕生。連載中期までは寿司ライバルの榊大吾(過酷な修行のために容姿が美形に変貌)との寿司勝負展開多めだったが、結婚以降は寿司ネタのトリビアと魚介系の民話がループする「ウンチク寿司漫」として安定の人気をキープ。
『クッキングパパ』こと略称クッパパの原作者うえやまとち先生は、これまでの2作品と違い「料理勝負」の概念の放棄こそ長寿連載の秘訣、と公言する。デビュー初期こそ熱血青春ドラマを描いていたが、クッパパの前身タイトルとなる短編『クッキングボス』(主人公荒岩は学生の設定)の高評価を受けてグル漫に開眼。子供たちの成長を見守る家族という極めて平和的なドラマでありながら、実用性高いレシピによって高い支持を得て今日までに至る。しかし、小学生同士で釣りに行ってた長男まことが、いつのまにか大学でフォークギターを弾いてる事実に気づいた時は、ちょっと衝(以下略)。