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『虎に翼』で寅子が徴兵制を全く疑問に思わない不思議

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NHK連続テレビ小説『虎に翼』にて主人公・寅子の夫が戦争で帰らぬ人となりました。男女不平等な社会における女性進出の物語ではありますが、一方で徴兵制という男性にとってあまりに理不尽なシステムをどう描くのか、寅子はどう考えるのか期待されてましたが、寅子は夫の死に直面してもそこに思いを巡らすことがなかったのは、ドラマのテーマを鑑みても片手落ちではないでしょうか。
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男女不平等な社会の中での徴兵制

現在NHKで放送されている連続テレビ小説『虎に翼』。女性として日本で初めて法曹の世界に飛び込み、道なき道を切り開いた猪爪寅子の人生を描く物語です。この物語が大きな転機を迎えました。太平洋戦争が終わり、男女平等を定めた日本国憲法が導入され、主人公の寅子をはじめとした女性たちが、それまでよりも社会で活躍する機会を得られるようになったのです。

日本という国が転機を迎えるには当然犠牲もあったわけで、寅子の夫・優三も出征して帰らぬ人となりました。この優三の死をめぐる描写がどうにも違和感があったので、その違和感を書いていきたいと思います。

『虎に翼』は、一般的な朝ドラと違い、明確なテーマがあります。男女不平等、女性差別的な社会の現実を描き出し、寅子が弁護士、そして裁判官として女性の権利のため戦うという明快なストーリーになっています。そのため、ドラマではここまでの戦前、戦中において、社会構造や男性の言動など、いかに男女の不平等が浸透しているか、これでもかとあぶり出される内容となっています。そんな中、時代は日中戦争から太平洋戦争へと突入し、戦争も末期になるにしたがって、寅子の周辺の男性たちも次々と徴兵され、戦地に赴いていきました。

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ただ、そうなると、引っかかってくることがあります。確かにこの時代、男女が不平等であったことは言うまでもなく、女性側がそれを不満に思うのはもっともです。しかし、一方で男性だけが戦場に送られる徴兵制という、逆の意味で男女不平等なシステムもありました。しかも、不平等なレベルが他のありとあらゆる不平等と圧倒的に違い、死に直結する圧倒的な不平等です。女性側が虐げられる不平等さをあぶり出すこのドラマにおいて、男性側が虐げられる、しかも死に直結する圧倒的な不平等なシステムをどうドラマの中で描くのかについて、僕はとても期待して観ていました。

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