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「この漫画の初回がとんでもない」サムソン高橋のTOP3

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この手の企画では「この漫画の最終回が〜」が定番だが、なら初回で語ることも可能では? 最終回の逆は初回だし。漫画の好事家たちに、初回が魅力的な漫画を3作品を挙げてもらった。今回はサムソン高橋さん。

サムソン高橋(さむそん・たかはし)
1967年生まれ。鳥取県出身。デブ専フケ専のゲイ雑誌『SAMSON』編集部で編集者およびライターとして勤務していた。2002年に退社後はフリーに。
X:@samsontakahashi

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少女漫画史上最もわけがわからない始まり

私にとって漫画の主戦場は主に少女漫画。少年漫画や青年漫画と比べて長期連載が少ないジャンルだ。少女の魅力と特徴はうつろいやすさ。大人の階段のぼるシンデレラに、長期連載は相性が悪いのだ。例えば『ガラスの仮面』は連載が始まったのが私が小学校低学年のときなのだが、終わりが見えないまま私は今年58歳になる。大人の階段をのぼりすぎた結果、すでに鬼籍に入られた読者も多いはずだ。あと、単純に私が飽きっぽくて長期連載についていけないということもある。『有閑倶楽部』も『ときめきトゥナイト』も『NANA』も『姫ちゃんのリボン』も、『お父さんは心配性』ですら途中で離脱してしまった(りぼん愛読者)。

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そんな私が範囲外のこのお題に応えてしまったのは小銭が欲しいのひとことに尽きるのだが、というわけで私が心に残っている連載作品もだいたいが短期ものである。

まず最初の作品は御年96歳の現役漫画家、この事実が本作よりも恐ろしかったりするのだが、そのわたなべまさこ大先生の隠れた代表作『聖ロザリンド』。色白金髪碧眼に薔薇の頬、天使のように美しい少女がサイコパスの殺人鬼だった…という設定は米50年代に小説と演劇と映画でヒットした『悪い種子』の翻案で、欲しいもののため老婦人を雑に殺す初回のエピソードはまんまパクリ。しかし元ネタと違うというか上回っている点は、『悪い種子』では天使の皮を被った悪魔として描写されているのに対してこちらはあくまで純粋・無垢・善意ゆえという、それこそタイトル通りの天使の御業による殺人というところ。物語後半では入れられた修道院のシスターを皆殺しにしながら脱出して、殺人を重ねながら故郷を目指すというサイコパス殺人鬼版母を訪ねて三千里が繰り広げられ、その恐ろしくも哀しい行く末には意外と涙を抑えることができなかったりする。

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