18年、差別的な動画やYouTubeアカウントを集団で通報してbanするムーブメントがなんJで起り、香山リカ氏が著書『ヘイト・悪趣味・サブカルチャー 根本敬論』（太田出版）の中でそれを賞賛している。
しかし、このムーブメントは17年に『余命三年時事日記』というネトウヨ系インフルエンサーのblogの呼び掛けに応えた人々が特定弁護士に対して大量の懲戒請求を行うという騒動があり、その一連の動きや、そこで明らかになるいわゆる「ネトウヨ」の珍妙な言動を面白がったなんJの住人が「ネトウヨ」系 の住人の多い板を煽りにいったりするような流れから生まれたものである。愉快犯的な部分があり、なんJから生まれた「恒心教」的なノリとも通じる部分があるし、おもちゃにする対象が「ネトウヨ」になっただけではないかという見方もできる。
はすみとしこ氏の自宅が晒されたのも「けんま」のノリでしかないし、あれはやってはいけないことだ。結果的に差別的なアカウントや動画が多数消えることになったのは事実だ。しかし、あれに関わった全ての人が悪ノリだけでやっていたとも思わないが、確実に面白がってるだけの人間もいるはずで、香山氏のように手放しで賞賛する気にはちょっとなれない。
「恒心教」のノリは、Colabo騒動や現在の様々なネットから生まれる悪質な行動の源流の一つだ。老舗もまだまだ元気だという話だが、元気でいられても困るのである。
〈金曜連載〉
PROFILE:
ロマン優光（ろまんゆうこう）
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』（Less Than TV）が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』（コアマガジン刊）『音楽家残酷物語』（ひよこ書房刊）などがある。
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