人権派格闘技漫画の最高峰『テコンダー朴』を世に送り出した義士・白正男先生が、日本人に正しい歴史認識と人権思想を啓蒙すべく、筆を執っている本連載。今回は白先生がタイに赴いた際、ただの●薬の売人だと思っていた現地の男から過酷な過去を聞いた時のお話。
■エンツ瑛士によく似たイケメンの職業
白人崇拝国の日本では白人と日本人のハーフは勝ち組という風潮だが、欧州では白人とアジア人のハーフは差別の対象になると聞いたことがある。聞いた相手はスイスとタイのハーフのウエンツ(仮名)という男。ウエンツと出会ったのはタイ南部のとある島。この島は美しいビーチと毎月満月の夜に開催されるフルムーンパーティー(野外音楽イベント)が有名で、世界中からDQN(9割が白人)が集まってくるどうしようもない場所だった。
ウエンツは20代前半で、タレントの■エンツ瑛士によく似たイケメンだったが、この男の職業は●薬の売人。タイで買ったヘロインを欧州で売り、欧州で買ったM●MAやL●Dをタイで売るという国際的ビジネスマン。ウエンツとは宿が同じだったから顔見知りになっていたが、ガチ犯罪者なので軽く挨拶を交わす程度の付き合いに留めていた。
その日、宿に併設されたカフェで食事をしていた時、ウエンツが現れて自分の隣に座った。カフェはほぼ満席で客のほぼ全員が白人。非白人は自分とウエンツと奥のテーブルの黒人男性だけ。ウエンツが話しかけてきた。
「これは日本の漫画のキャラだろ?」