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『テコンダー朴』原作者・白正男による正しい歴史認識と人権思想講座 第2回:「アンネ・フランクの家」でナチスの蛮行を学ぶ

連載
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人権派格闘技漫画の最高峰『テコンダー朴』を世に送り出した義士・白正男先生が、日本人に正しい歴史認識と人権思想を啓蒙すべく、筆を執っている本連載。今回は白先生がオランダのアムステルダムにある「アンネ・フランクの家」を訪れた時のお話。

ロシア国営メディア「ロシア・セヴォードニャ」傘下の通信社「スプートニク」の記事(2022年12月16日付)によると「国連総会ではナチスの英雄化に反対するロシアの決議案が賛成多数で可決された。一方、日独伊、及び西側の国々は反対、または棄権した」とのこと。この決議案は例年、賛成多数で可決されているが、旧枢軸国がこの決議案に反対するのは今回が初めてだという。

日本ではナチスを英雄視している人は少ない気がするが、一部の厨二病キッズの間でナチスに根強い人気があるのは、ナチスが強くて悪くて何より制服がカッコイイからではないだろうか。少なくとも厨二病時代の自分はそうだった。ナチス親衛隊の制服を生産していたヒューゴ・ボスが存続していることを知って、親にヒューゴ・ボスのコートをおねだりして一蹴された苦い思い出。

そんな少年時代の過ちから十数年後、人権意識の高い立派な大人になった自分は「アンネ・フランクの家」を訪れていた。アンネの家はオランダのアムステルダムにある博物館。ナチスのユダヤ人狩りから逃れる為にアンネ・フランクの一家が隠れ住んでいた家を博物館として利用している。ナチスの蛮行と平和の大切さを学ぶ為に訪れた観光客で常に賑わっている人気スポットである。

自分がアンネの家を訪れたのは、日帝を糾弾する活動に邁進する義士として、日帝と同盟関係にあったナチスの蛮行についても学ぶ必要があると考えたからだった。

アムステルダムは大麻中毒の観光客が多いイメージだったが、結論から言えばイメージ通りだった。

前日に訪れたゴッホ美術館は大麻中毒者特有のマヌケ面だらけだった。ガンギマリ状態でゴッホの作品を鑑賞するのがアムステルダム観光の定番コースらしい。アンネの家でも大麻ガンギマリのクズどもがいることを覚悟していたが、流石にTPOをわきまえたのか、そんな輩は見かけなくて一安心。

入り口には館内案内のパンフレットが置かれていた。英語やフランス語など欧州の言語だけでなく日本語もあった。日本語版を取ろうと手を伸ばしたその時、このパンフレットは罠であることに気付いた。選んだ言語によって館内での道徳的序列が確定する。最下位はもちろんドイツ語だが、旧枢軸国の言語である日本語も最下層レベル。

ここは無難に英語版を取ろうとして、その横にヘブライ語版があることに気付く。館内の道徳的序列最上位はヘブライ語版を持つ者。ついに勝利の方程式を導き出した。現在のポリコレ的にはLGBTムスリム黒人女性が地上最強という風潮だが、このアンネの家においてはナチス被害者であるユダヤ人こそが最強。

そんなことを考えていた時、後ろから来た白人男性がドイツ語版を取った。戦犯国民にマウントを取る千載一遇のチャンス到来。ヘブライ語版を見せつけるように取って威嚇する。気まずそうな顔をするかと思ったが、期待に反して無反応。横にいた白人女性が男性に話しかける。フランス語だった。ドイツ人ではなくスイス人だったらしい。入り口に着いてから約20分が経過していた。周囲には不審人物に見えていたかもしれない。

大麻の吸い過ぎは論外だが、ポリコレもほどほどに、というお話。

文/白正男
写真/AnneFrankHouse(Wikipedia)
初出/実話BUNKAタブー2023年3月号

PROFILE:
白正男(はく・まさお)
職業:義士、漫画原作者。出身成分:核心階層(抗日戦士)。正しい歴史認識と人権思想を啓蒙するため、本誌連載作品『テコンダー朴』の原作を担当。

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