僕がこういうことを言うとめちゃめちゃ叩かれるかもしれないけれど、小説が読まれなくなったり、革新的なことができなくなったのは、文藝村の村社会化が大きいと思う。
僕が「〇〇さんに書いてほしい」と思っても、「手順があるからすぐには会えません」みたいなことが当たり前になっている。予定調和で癒着してる方が楽なんだろうけれど、自分たちで変なしきたりばかり作って、伝統芸能の世界みたいにしていたら、大衆向けコンテンツとして発展していく可能性は限りなくゼロだろう。本来、編集者は作家と社会との窓になるべきなのに、編集者がムラ社会化を促進して、閉鎖的な方向に持っていくのはマジで違うと思うし、自分たちの首を自分たちで絞めているってことにいい加減気づいてほしいよ。
俺様の新書だ!
そういえば9月15日に自分にとっては久々の新刊が2冊同時に発売した。
一つは幻冬舎から出る『かすり傷も痛かった』。これは『死ぬこと以外かすり傷』以降の自分に起きたことを反省したり、振り返ったりしてる本。メチャメチャ意識高く頑張ってきた僕が文春砲によって競争から強制退場させられてから考えたことについて、色々書いてます。競争に勝ち続けても幸せに一定までは近づくけれど一定以上は近づかないことに気づいた話や、かすり傷の予想以上の痛みについても綴っているから、競争に少し疲れている人に読んでほしい。
もう一作は『怪獣人間の手懐け方』(クロスメディア・パブリッシング)。こっちは、見城徹社長やホリエモン、ガーシーのような「怪獣人間」と付き合って、彼らとの交流をどう仕事に活かして、自分のメリットにしたのかという作品。どんなジャンルでも凄い人と関わることが結果を出す道だから、編集者はもちろん、人と関わるあらゆる仕事の人の参考になると思う。普段、会社でムカつくテキトーな上司なんか小物に思えてどうでもよくなってくるメリットもあるはず(笑)。
イラスト/中学生・永字八法
初出/実話BUNKAタブー2023年11月号
PROFILE:
箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年東京都生まれ、早稲田大学卒。2010年双葉社に入社。広告営業などに携わった後、編集部へ。『たった一人の熱狂』見城徹/『逆転の仕事論』堀江貴文などを手がける。2015年幻冬舎に入社、書籍レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』堀江貴文、『日本再興戦略』落合陽一、2019年に一番売れたビジネス書『メモの魔力』前田裕二など次々とベストセラーを手がける。自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。クラウドファンディングにて1000万円を集め、雑誌『サウナランド』創刊。様々なブランドとコラボレーションをおこなったり、各地でサウナランドフェスを開催。2021年のSaunner of the Yearを受賞。