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「公共」という概念がなくなった:適菜収連載4

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この30年に渡り、わが国で猛威を振るった新自由主義勢力にとって、国家の論理は障壁でしかない。連中は「公共」という概念には関知しない。よって、グローバル企業や財界の下請けである政治家が国家の中枢を汚染するようになって以降、「公共」という概念が稀薄になっていったのは当然の帰結ということになる。

2014年1月、世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)で安倍晋三は徹底的に日本の権益を破壊すると宣言。電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。

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その言葉通り、日本の景色は一変した。モラルの欠片もない人物が社会の一線で大声を出す暗い国になってしまった。コンビニやチェーン店ではセルフレジやパネル注文などで、店員と接触する機会はなくなり、話しかけても日本語が通じなかったりする。こうなると「公共」など成り立ちようがない。

国は徐々に衰退するのではなく一気に崩壊するという残酷な現実を、われわれはまざまざと見せつけられている。

 

初出:実話BUNKAタブー2023年11月号

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国家とはなにか、国民とはなにか:適菜収連載1

PROFILE:
適菜収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。『日本をダメにした新B層の研究』(K Kベストセラーズ)『ニッポンを蝕む全体主義』(祥伝社新書)など著書多数。

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