42本目・『人造人間キカイダー』
いまから50年も前に放送が終了した特撮テレビ映画だが現在もバリバリに稼働中である。とくに我が家では。我が家といってもひとり暮らしなので「我が家」というよりは「我」では。「我」の部屋では。
ま、渡辺宙明の音楽がナウいとか、ヒロインの水の江じゅんがかわいいとか、キカイダー役の伴大介の演技がしびれるとか、林ゆたかが怪しい役で出てくるのがたまらないとか、まあいろいろある。なにからなにまで素晴らしい。悪の首領、ギル教授役の安藤三男は子供番組の粋を越えた恐怖を視聴ちびっ子(私を含む)に投げ続けてきたが本作の演技は恐怖、不気味の方向性にアングラ芸術的な香りが漂う。退廃的でカッコよくさえある。本作が東映大泉で作られるすこし前、同じくその撮影所で活躍していた暗黒舞踏の土方巽。石井輝男監督の恐怖性愛、性倒錯シリーズで大活躍していたのだが、その土方巽の雰囲気を確実に再現している。
さて。
それはともかく本作は50年前の作品と思えないほどナウい。
超ナウい。
AIの台頭で世界はどうなるかという昨今。
本作はすでにそこを捉えている。