その直後、『愛は勝つ』が大ヒットし、KANさんは一躍メジャーに。アタシ、それから4、5年ほどはKANさんのアルバムをヘビロテしていたんだけど、社会人になったころから、何となく聴く回数が減り、ニューアルバムもチェックしなくなっちまったのよ(ただし、カラオケでは時々歌ってた)。
ところが今回、訃報に伴い、KANさんの面白曲(槇原敬之さんへの嫉妬心から作ったという、曲調から歌い方まで、すべてを槇原さんに寄せた曲とか、Perfumeの一員になりたくて、すべてをPerfumeに寄せた曲とか)や、さまざまなコスプレ写真、スチールパンで焼きそばを作っちゃうライブの動画なんかがSNSのタイムラインに大量に流れてきて、その才能、サービス精神、あらゆる音楽やミュージシャンへの愛の強さに改めて衝撃を受け、「なんて惜しい方を亡くしてしまったんだろう」「どうしてアタシ、KANさんの動向をずっと追っていなかったんだろう」「どうしてアタシ、一度もライブに行かなかったんだろう」という思いにさいなまれることに。後悔先に立たずとは、まさにこのこと……。
そんなわけで、KANさんのライブを生で観ることはもうできないけれど、DVDだけでも観ようと思っているし、一度でもハマったアーティストのライブは、行ける限り行っておこうと心に決めたわ。KANさん、たくさんの名曲をありがとうございました!
<水曜日掲載>
画像/アルバム「ザ・プレミアムベスト」(2009年)ジャケット
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001