しかしながら我が人生で一番美味かった料理に出会ったのはこの旅行中だった。場所はチベットのラサ。店名は忘れたが四川料理店。その店は旅行者の間で「頭がおかしくなるくらい美味い」と評判になっていた。その日、自分は現地で知り合った日本人2人とその店を訪れた。ひとりは40歳くらいの中年男性。仕事は会計士だという。もうひとりは20代の男子大学生。評判になっていた「茄子とひき肉の炒め物」をオーダー。確かに「頭がおかしくなる」美味さだった。誇張ではなく本当に頭がおかしくなって、最後は奪い合いになった。大学生は奇声を上げて手掴みで料理を口に運ぶ。会計士も完全に理性が飛んで、大皿に残った汁を指でかき集めてベロベロ舐め出した。一体何が起こってるんだ?
正気に戻ったのは約1時間後。証拠はないが状況的に麻薬が入っていたとしか思えない。だがこんなに即効性がある麻薬なんてあるのか?
もし麻薬を使わずにあの料理を作れるなら間違いなく世界一の天才料理人。真相を確かめる為にもう一度あの店に行きたいが、チベットまで行くのが面倒過ぎて無理だった。■近平は謝罪しろ!
『テコンダー朴』原作者・白正男連載:第4回:良心的人権派団体Colaboの素晴らしい活動
『テコンダー朴』原作者白正男連載:第8回 コナミによって人生最大の恥辱を受けた哀しき過去
『テコンダー朴』原作者白正男連載:第3回 ゲーマー・たぬかなによる低身長差別の問題の本質
文/白正男
画像/資源エネルギー庁HPより
初出/実話BUNKAタブー2023年12月号
PROFILE:
白正男(はく・まさお)
職業:義士、漫画原作者。出身成分:核心階層(抗日戦士)。正しい歴史認識と人権思想を啓蒙するため、本誌連載作品『テコンダー朴』の原作を担当。