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「この漫画の最終回がとんでもない」ロマン優光のTOP5

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打ち切りによって物語の回収が不可能になったり、わずかなページ数に残り全部をぶちこもうとした結果、よくわからない印象的な最終回をむかえがちだが『テルミ×テルミ×テルミ』(佐木飛朗斗/岡田鯛)のそれは凡百のそれとは一線を画している。『特攻の拓』の佐木先生によるオカルトと暴走族の出会いの物語は先生の宇宙の理を追求しようという情熱がひたすら空吹かしされた最初から最後まで理解ができないが過剰な熱さだけが伝わってくる物語だった。打ち切り漫画には主人公(作者)のモノローグというかポエムが延々と書かれて終わるケースもあるが、佐木ポエムの理解し難さは特筆すべきだ。

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主人公のモノローグエンドといえば『蛮勇なり』(笠原倫)。原発事故で荒野となった関東を舞台に政府を影で支配する宗教団体と一匹狼のヤクザとの闘いを描いたSF作品。宗教団体の送り込む超人戦士や教祖の超能力とのバトルが描かれた狂気と情熱がひたすら暴走していく作品だが、最強の戦士との勝ち目のない闘いに挑む最終回での数ページに渡るモノローグの強烈さは他の追随を許さない。

・蛮勇ってのは 生き急ぎと死に急ぎの間を流れる川だ
・おまえら普通人(カタギ)にはわかるまい/だが急流でなお荒ぶる岩魚もいる/お先に失礼だ/おまえらなんかずっと生きてろ

つまらない奴等に「お前ら死ね!」ではなく、「ずっと生きてろ」という苛烈さ。笠原倫の最高傑作だ。

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その『蛮勇なり』の強い影響を受けているのが山口貴由。偉大なる失敗作である『エクゾスカル零』は主人公・葉隠覚悟が新キャラに敗北するという作者自身ですら驚愕する最後を迎える。真摯にテーマを追求した結果、作者ですらコントロールできなくなった正義失格者たちの物語を前に我々は襟を正した上で立ちすくむしかないだろう。

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鳥山明死去:ロマン優光連載282

文/ロマン優光
画像/『”LOVe”』30巻(石渡治/小学館)
初出/『実話BUNKA超タブー』2024年3月号

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