一方で小池知事はこれを完全スルー。議会終了後「定例議会にしっかり取り組んでいくことが現職の務め」と述べるだけで蓮舫氏の出馬にも触れなかった。
「もし一言でも触れてしまうと、その後の質問から逃げづらくなる。焦りから蓮舫氏の土俵に上がっているように見られてしまうと判断した。見え方をちゃんと計算して、やはりしたたかだ」(永田町関係者)
また小池知事もきっちりマウントをとることは忘れない。
開会前日の5月28日には、都内の区市町村長の有志52人からの出馬要請連名文書を受け取った。これについては、小池知事の側近が仕込んだもので、都内の市長会、区長会に対して出馬要請文に名前を連ねるよう依頼した自作自演という反小池の都議会議員からの証言が出た。しかし、小池知事はものともしていない。その後の会見では「行政は継続してこそ力なりってあります」と要請文の正当性を平然と主張した。
ただ本稿を執筆中の6月5日現在、小池知事はまだ出馬表明していない。沈黙パフォーマンスの仕上げはまだ見えない。
都知事選には、ほかにもSNSで話題の広島県安芸高田市の石丸伸二前市長、タレントで環境活動などを続けてきた清水国明氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏らが出馬表明しており、立候補者は20人を超える見込みで雑然騒然としてきた。
しかし、日本が世界に誇る首都・東京都を担っていくリーダーを決める選挙が都政に関係ないパフォーマンス合戦でいいのか。有権者の民度が問われる。政策を見極めて1票を投じなければ、首都の評判も都民の生活も崩壊する。
取材・文/村嶋雄人
初出/実話BUNKAタブー2024年8月号