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BUNKAタブー的共同親権講座:米山隆一連載8

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親権があろうがなかろうが最大限の礼を以って交流すべし

勿論、この共同親権を離婚後も上手く行使できる、ハリウッド映画に出てくるようなカップル(元夫婦)がいることは否定しませんし、離婚した後も子供からは良い父として慕われ、元妻とも子供の養育を安心して任せて貰える関係でいられるなら、それに越したことはないと思う男性は少なくないでしょう(ここではBUNKAタブーの読者の大半が男性であることを想定しています)。

しかし、1500年前の中国の古詩が喝破している通り、「去る者は日びに以て疎く 来る者は日びに以って親しむ」のが人間です。離婚した後の親権が単独であろうが共同であろうが、子供が母親と共に暮らすことを選んだ場合、子供は母親と「日びに以って親し」くなり、一緒に暮らしていない父親とは「日びに以って疎く」なるのは如何ともしがたいことです。

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そうして「疎く」なった父親が、親権があるからといって、子供や元妻に上からあれこれ言ったら、言われる側から見たらそれは、普段一緒に暮らしていない実家の母親から「あんたいつになったら結婚するの?」という小言を言われるようなもので、「日びに以って」どころか、「一言一句を以って」「秒を以って」疎まれることになりかねません。「親しい中にも礼儀あり、遠い中にはもっと礼儀あり」で、離婚して別々に住んでいる以上、親権があろうがなかろうが、遠くの母子とは、最大限の礼を以って交流することが、共同親権を持った別居の父が子供を養育していくための秘訣ではなかろうかと私は思います。

成立した改正民法が施行されるのはこれからですが、施行されたのちは、法律のみならず、社会も私たち自身も、離婚後も子供とそれぞれの親が幸福に暮らしていけるように、変わっていかなければならないのだと思います。

 

文/米山隆一
初出/実話BUNKA超タブー2024年7月号

米山隆一

PROFILE:
米山隆一(よねやま・りゅういち)
1967年生まれ。新潟県出身。東京大学医学部卒業。独立行政法人放射線医学総合研究所、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、おおかた総合法律事務所代表弁護士などを経て、2016年10月に新潟県知事就任。2021年10月、衆議院議員選挙にて旧新潟5区で初当選。立憲民主党所属。
Twitter @RyuichiYoneyama

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