斎藤元彦兵庫県知事によるパワハラ問題の調査委員会の委員だったため、無数のデマにさらされていた竹内英明元兵庫県議が自ら命を絶つことに。自身もネットで炎上することが多い米山隆一衆議院議員が、過激化する一方のネット上の誹謗中傷について論じました。
第12回:ネットの誹謗中傷
2020年5月23日にネットの中傷が原因でプロレスラーの木村花さんが自殺したとみられる事件が起こって5年弱後の1月18日、兵庫県の元西播磨県民局長(昨年7月に死亡)が作成した告発文書の内容を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員で、昨年11月に家族への誹謗中傷を理由として兵庫県議を辞職した竹内英明氏が、やはりネット(もしくは直接)の誹謗中傷が原因で自殺したとみられるとの報道がなされました。大変痛ましいことで、心よりご冥福をお祈りします。
この「ネット(SNS)における誹謗中傷」は、ほぼ月に1回くらいの割合で炎上している私も多々経験しているところなのですが、リアルの誹謗中傷にはない、独特の特徴があります。
第一に、ネットの中傷はあまりに大量に来ます。「大量」と言っても例えば私の炎上気味のポストに来るリプライは、ちょっとしたものなら100程度、多くて1000(これは結構炎上しています)くらいで、日本のXアカウント登録数が7000万人であることを考えれば大した割合ではない(0.00014~0.0014%)のですが、しかし個人でこれに反論すると、相当に気が滅入り、エネルギーをそがれます。
しかしそれ以上に、気を滅入らせられる第二の特徴は、ネットの誹謗中傷をする人のかなりの割合が、「全く話が通じない」ことです。ネットの誹謗中傷に、「批判にも一定程度理由があるけれどそれにしたってそこまで罵倒するのはおかしいでしょう」という反論をしてもまず聞き入れては貰えません。
そういう、それでも一定程度の理由がある時はまだましで、憶測や曲解どころか、「どう見ても出鱈目」な誹謗中傷(今般の兵庫県の事案では、立花孝志氏は故竹内氏が兵庫県警の捜査を受け、間もなく逮捕されるという根も葉もないデマを流布し、兵庫県警本部長から否定されて、デマを認めています)をされることもあるのですが、そんな時に何度その事実を指摘しても、馬の耳に念仏、蛙の面に小便、匿名アカウントに事実の指摘、彼らは何一つそれを受け止めることなく、同じ出鱈目な主張を繰り返します。説明しても反論しても繰り返される罵倒を受けていると、賽の河原で石を積んでは鬼に壊される苦行をさせられているような絶望的な気分になります。