油にまみれ輝く三つ葉の威容
首都圏に展開する大人気のスーパーマーケット「OK」(オーケー、人によっては何故かオーケーストアと呼称)。その圧倒的なお値安感に魅了されるファンは数知れず、歓喜の声に誘われた私もあれこれ弁当を食べることにした。
というわけで、カツ丼である。
なんでもこのOKのカツ丼は大ヒット商品。2022年度には550万食を売り上げたという。しかしそんな前評判を抜きにしても期待が募る。
なぜか。
それは、堂々たる三つ葉が鎮座しているからだ。
322円(299円+税)
(※オーケークラブ会員は上記から3%相当額割引)
カロリー:955kcal
タンパク質:24.9g
脂質:43.6g
炭水化物:120.3g
食塩相当量:3.8g
コロモの茶。玉子の黄色。そこに鮮烈な緑である。
三つ葉は、正統カツ丼に必須。なのに、いの一番にコストカットの犠牲になりがちなアイテムでもある。これを省略せずに安価なカツ丼に採用するとはなんとも心憎い。店の心意気が染み渡る。
そして見てほしい。
ドン!! こいつはまるで山脈だ!
あまりの迫力に、つい重量を計っては震え上がる。遠心力を加えれば武器になるよコレ。
話が逸れた。さあ食べよう。
おおっ! こいつは甘い。
甘さが味の重量感となって迫りくる。
そして言うまでもなく、空腹に「重い」は超ポジティブワード。
うまいうまい、とガツガツ食らう。
玉子は甘く、コロモも、米飯も甘い。肉が一番甘くないとはこれ不思議。そんなことを考えながらどんどん食べる。しかし、ふとした瞬間に箸が止まる。来てしまった、この時が。
そうなのだ。「中年男は一気呵成に食べられない」。これは残酷なテーゼである。
例えば「大盛り無料」のラーメン屋で、おっさんらがラーメンを大盛りにすることもなく、「味玉もやしラーメンね」などと妙なトッピング付きメニューを頼む風景を、若者たちは奇異の目で眺めていることだろう。
しかし、おっさんは押しなべて、咀嚼力や、嚥下力が低い。集中力も低い。よってトッピングで自分の機嫌をとり、途中でコショウを振って自らを鼓舞。そうしてはじめてガッツリ系フードを最後まで美味しく食べられるのだ。
思うに今の私に必要なのは三つ葉じゃない。OKの弁当には必ずといっていいほど入ってる、何味なのかいまいち判然としない、あの紫の漬物の酸味を求めている。味にアクセントが欲しいのだよ。
とはいえ、そんなことを言うのも贅沢。望みすぎってもんだよなぁ。
頑張った。
文・撮影/東山セレクトショップ