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SNSで起きた高知県土佐市某観光交流施設のカフェを巡る事柄のこと:ロマン優光連載240

連載
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件のインフルエンサーに取り上げられたことを伝えるリプに対して店長が喜びの念を返答していたが、そのインフルエンサーに取り上げられたことを本気で喜んだようにも、よくわかってないけどリプ主に丁寧に応対しただけにも、とりあえず有名な人なので形式的に喜んでみたようにも解釈はできる。

だから、意図的にNPOや代表に対する誹謗中傷や凸を期待して拡散したという風に解釈される可能性もゼロではないし、そういう解釈によって法的責任を問われる可能性だってある。

そこまでいかなくても、実際に迷惑をこうむることになった地元の人によくは思われなくなることはあるだろうし、そうなってくると、この件が解決したとしてもカフェの営業が存続できるか、このまま現地で暮らすことができるかというのもわからなくなってくる。

さすがに意図的に犯罪行為を誘発しようとしていたとはとうてい思えないし、この件の政治利用を目論む人間が出てきても不思議ではないが、何らかの政治的な陰謀がこの件の背後にあるというような非現実的で大袈裟な意見も受け入れがたい。客観的な事実かどうかは別にして、本人の認識に関しては告発ツイートの額面どおりの感じなのではないだろうか。だからこそ、勝つための発信をしたはずが相手につけいる隙を与えてしまう怖さ、想定してない不利益を自分に招いてしまう怖さ、被害者のつもりが結果として加害者になってしまうかもしれない怖さがここにはある。

陰謀論めいたnoteも登場

今回の件、SNS上で勝利すること(実際、漫画というわかりやすく感情に訴えやすいツールを使ったこと、「たかがSNS」というNPO代表の言葉を引用することでSNSの人々の感情を刺激したことなど、そういう面ではよくできている)に目が向いていて、それを現実の勝利に繋げることに目が向いていなかったのではないか、どのように繋げるかということに対する具体的なプランがあまりなかったのではないかという印象がある。勝利条件の設定もどこまで具体的にあったのか。

確かにTwitter上では大勝利みたいな状況に一時はなったが、それが問題の解決に繋がるようには現状ではとても思えない。一部メディアで報道はされたが、それぐらいなら他にも方法があったような気がしないでもない。それも結果論でしかないが。

弁護士を双方でたてて協議しても、事態がいっこうに好転せず、状況を変えたくてSNSでの発信に踏み切ったのだろうし、気持ちはわかるのだが…。一般的に弁護士をたてて協議している最中の事案に関わることについてのネットでの発信は止められるものなのだが、勝手にやったのか、弁護士の許可のもとやったのか、弁護士は何かアドバイスしてあげられなかったのか、色々と気になっている。

NPO代表は「たかがSNS」と言ったと伝えられているが、カフェ側は逆にSNSを善意で過大評価していて、その危険性には目が向いていなかったのかもしれない。しかし、異常な事態に巻き込まれた普通の人が、ああいった発信した際のリスクを想定できなかったからといって責めることもできない。他人事だから何か言えるだけで、自分だって追い詰められたらどうなるのかわからないのだから。

カフェ側の発信に躊躇なく乗っかって応援していた人が、カフェ側に疑惑の目を向けた真偽不明の陰謀論めいたnoteの内容を素直に受け入れて、騙されていたというふうに言ってるのも見かける。結局それでは何も変わっていないわけだ。何が正しいかまだ全然わかっていないというのに。発言する前に少し止まって考えてみるとか、よくわからない箇所があったら情報が集まるまで静観するとか、発信者に関してどういう人だか調べてみるとかしていかないと、情報に引っ張り回されるだけで、本当に何度も騙されてしまうことになるので気をつけた方がいいと思う。何でも疑いの目で見て静観することが必ずしもいいことではないのは確かだか、何でも善意で不用意に信じて直感的に行動することもいいことではないのだ。難しいことではあるが、バランス良くやっていくことを目指したいものだ。

 

〈隔週金曜連載〉
画像/土佐市公式HPより

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

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