また、評論家の古谷経衡氏も昨年7月のプレジデントオンラインの記事内で、石丸氏を厳しく批判している。 〈現在、石丸が出している著作は二冊。『覚悟の論理』と『シン・日本列島改造論』である。特に『覚悟の〜』の方は、商業出版のレベルに到達していない、というほどの酷い内容だ。(中略)典型的な自己啓発本で、中身は何もない〉
一方、都知事選への立候補決意を公表している中での『シン・日本列島改造論』も〈出馬動機のところはひどく曖昧なまま、逃げるようにして日本の将来への危機意識で終わる〉と断じた。
石丸氏のような存在は政治レベルをますます低下させる。中身のない政治家が跋扈するようになれば、それはそのまま国民生活に跳ね返ってくる。 都知事選での各種調査では世代別では、石丸氏は特に10代、20代からの支持が強かった。調査によると理由はシンプルだ。 選挙になるとメディアなどで政治や選挙の話がでるが、政治に関心がない若者にとって中身は難しい。そうした中で、極めて単純で抽象的なフレーズばかりを発する石丸氏の内容が、若者の常用ツールのSNSやYouTubeで分かりやすく展開されていれ、惹かれてしまうというのだ。
ただ、問題は30~50代の石丸氏の支持層もいることだと民間の政策シンクタンクの代表は分析する。 「マスコミ各社の調査を分析すると、SNSやネットのショート動画だけで石丸氏を支持して投票先を決めた30~50代も多かった。彼らは大人というか、社会の中心的存在だ。10~20代ならまだ分かるが、彼らはいかがなものか。
たった数秒、数分のショート動画で政治が分かった気になり、それで済ませてしまう。スマホやネットに洗脳され、現実とネットのダブルスタンダードがごちゃごちゃになってしまった人たちだ。ネットに染まった人たちが、ネットの世界を現実と思い込んでいる。こんな人たちが石丸氏を支援し、政治や社会を回していくことになったら、嘘がまかり通り、偽物が為政者になる。石丸現象は、政治や社会の危機と断言できる」
今回の記者会見騒動や新党の中身で、石丸氏の本質が露呈した。石丸氏の政治家としての中身は感じられず、彼が思い描く具体的な社会像も語ることができず、とにかく敵を作り、存在感を増すことを狙うのが目的だった。ただ最後に付け加えたい。そんな石丸氏に熱狂する、低レベルの支援者や有権者がいるということだ。
今こそ民度が問われている。
信者や支援者はいい加減目を覚ませ。あなたたちは、日本人全体の知性劣化と幼稚化の象徴であり、このままでは日本がどんどん鈍していくことになるだろう。
取材・文/村嶋雄人
写真/ Wikipediaより
初出/実話『BUNKAタブー』2025年3月号