「感じの良さ」にひかれてきた人たちを内部に取り込み、表面にはあまり出さないディープな方向に染めていくやり方をしているわけだが、いわゆる素朴な不安を持った人が参政党の耳当たりのいい発言に引き込まれ、陰謀論・疑似科学とほうに誘導されていていくのを防ぐのはどうしたらいいのだろうか。まあ、一般的に陰謀論や疑似科学を支持している人の多くがいわゆる素朴な不安、素朴な善意が誘導されていった結果そうなっているわけである。
おかしな主張や情報に関して反論したり指摘することは大事だが、おおもとにあたるような人物でもなく、向こうからからんだり名指しで言及してきたわけでもなければ、直接ぶつけても仕方がない。よほどの差別的発言・悪質なデマであればともかく、こういった末端の陰謀論・疑似科学の支持者の問題のあるぼんやりとした発言をSNS上でこちらから直接リプを送って叩いたり、引用RPのような形で晒し上げて叩いても仕方がない。その人が変わるかと言えばそうではなく、感情的に反駁するだけで、より頑なになるだろうし、恨みの念も生まれてしまう。エビデンスを積み重ねて反論しても、そこに信頼関係がなければ受け入れられることは少ないだろう。結局、理屈じゃなくて感情で動かされている人を説得するには、いったんその人の気持ちを受け入れてあげるしかなく、それも相手に信頼されているという前提が必要なわけで、それを築くのは非常に困難で、現実的には家族や友人といった身近な人でないと難しいだろう。いや、そういった人でも難しいのであるが。
街頭でヘイトをまき散らしたり、悪質なデマを照れ流している人間に現場で声をあげることを私は間違っていないと思っている。しかし、SNS上でおかしな発言をしている末端の支持者を見つけてきて晒し上げて叩くような行為はそれとは違うし、相手の恨みを買い、断絶が広がっていくだけで、何か自体が好転するわけではない。
参政党が主張しているようなことに対して、検証したり、エビデンスをもとに批判するということは、今それを支持している人に対して説得したりする効果はあまりなく、それ以外の人に問題を認識してもらったり、注意喚起をすることが目的であるというか、そういう効果しかのぞめない。結局、とりあえずはYouTubeやTikTokに蔓延する事実に基づかない情報で不安を煽って排外主義や陰謀論に誘導するような動画をなんとかしなければどうにもならないのが現状であろう。
そして、ああいった動画で煽られた人が今一番接続しやすいのが参政党なのだ。
こういう状況も急にこうなったわけではなく、長年の積み重ねによる当然の帰結であり、すぐに何か解決したりするわけではないし、切羽詰まっているのに気長にやるしかないという何とも言えない状況にあり、ちょっと気を抜くと呆然としてしまうのだが、なんとかやっていくしかないのである。