自分が参政党について初めて原稿を書いたのが2022年のことであり(新書『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』に収録)、当時目立っていた反ワク政党の一つとして触れたのだが、参政党のやり方は当時から変わっていないし、内包された「思想」も変化はない。
この連載でも『ジャンボタニシ農法と参政党:ロマン優光連載281』で取り上げたし、陰謀論や疑似科学の問題に触れる際にはたびたび言及してきた。
しかし、参政党がそういう要素を持つ団体であるということが認識できているのは一部の人であり、世間的に共有された認識ではない。新たに参政党を支持するようになった人たちの多くが、こういった参政党が抱える陰謀論・疑似科学的な主張について知らなかったり、そもそも陰謀論的なもの自体に無関心である可能性は高いと思っている。陰謀論・疑似科学的主張の問題について説明したところで特に心が動くこともないのではないだろうか。
こういった問題について大きなメディアが取り上げることは少ない。趣味的なもの、サブカル的なものとして、そこにある問題に注視してこなかったというのはあるだろう。ああいったものの危険性をなめているのもあるだろうし、選挙報道に関するマスコミの方針もあるのだろう。そもそも、ああいったことが危険な問題であるということを認識できていないメディアの人間が多いのではないかという疑いもある。
結果として、参政党の持つ危険性が周知されないまま、耳当たりのいい表面的な振る舞いで支持をのばしていったのはあるだろう。N国の危険性が一般に認知されてこなかったことに関してもそうだが、こういったことをちゃんと取り上げてこなかったメディアの責任は大きいと思っている。
ネットの情報汚染
極右的傾向・排外主義的傾向を持つ政党としては珍しく、表面的には攻撃的な言動がないのも参政党の特徴である。少なくとも街宣やSNS上ではそういった面は非常に抑制されている。これも彼らが勢力を拡大していったことの大きな要因なのではないか。
主張の内容に関わらず、日本では一般に攻撃的な言葉、振る舞いを忌避する傾向が強い人が多い。主張の内容以前にそこで評価を決めてしまう人が多い。そういう人が主流なのだと思った方がいいだろう。それが正しい正しくないといったことでなく、現実的にそういう人が多いという話だ。
大っぴらに攻撃的な言葉と感情的な態度でヘイトをむき出しにするより、表面上は穏健な態度・言葉で語る(内容を検証すれば、たいしてかわらないのだが)というのは、戦略的には有効だということだろう。
あと、やたらとポジティブな雰囲気をだしてくるのも特徴で、全体的に「感じの良さ」を意識した活動がなされている。