そういった地下アイドルブームは13年をピークに人気グループの解散がかさなるなど15年くらいまでには失速していくが、それ以降に注目を集めたのが前述のベルハーやゆるめるモ!の活動に触発されて始まったアイドルやセルフプロデュース・アイドルの流れである。前期2グループ、遡ればBABYMETALやBiSの成功にたどり着くのだが、アイドルという形式でなら本来であれば売れるはずのないマニアックな音楽性でも商業的に成り立つことや、アイドルという形式でそれをやっている面白さや自由さにひかれた人が参入してきたことで生まれた動きで、これも18年くらいをピークに失速していくが、そこに今までずっと寄り添ってきたのが『三十六房』である。
自分が通っているアイドルや運営に何度「『三十六房』にCD-Rもっていったほうがいいよ」「CD-R作ってもっていったほうがいいよ」と言ったことか。実際のところ、本当に集客効果があるのである。
25年7月3日に大阪のとんでもはっぷんが出演したのだが、翌日の東京のウルトラめっちゃ凄く良いグループとの2マンライブには見知らぬオタクが大勢いた。ロックカフェロフトとおいう極めて小さい会場でおこなわれ40くらいのキャパなのだが、普段みたことがない、うめすごがやっているようなライブでは見かけない人が大勢いる。とんでもはっぷんのオタクの人に聞いてみてもしらない人ばかりだという。半分以上の観客が『三十六房』効果によるものだったのではないか。数を知って失笑する人もいるかもしれないが、実情として、あの規模の活動をしていて一気に10何人新しい人が見に来るのはありえないことなのである。次の日のライブではとんでもはっぷんは動員記録を打ち立てたという。
ほんと、出れば売れるということはないのだけれど、小規模現場のニッチなアイドルにとって、出たらそれ以前よりは見に来る人も増えるし、知名度もあがるので、それが微々たるものだとしても本当にありがたい存在だったと思う。
そういえば、南波さんにいいたいことがあるのだが、私の名前をアイドルに出してもわかるわけないし、会場にいる知り合いのオタクが笑うだけなのでかんべんしてください。あと、2016年のアイドルをコンセプトにしたウルトラめっちゃ凄く良いグループの1stデモを聴いて南波さんは2016年というより2012年だよといっていましたが、うめすごの16年は非常にニッチな新宿モーションとかTRASH-UP!!企画とかいった界隈の16年で、スーパー転校生のメンバーが自力で録音したCDR音源(おそらくメンバーごとに歌は別録りだが、配置が小節とずれてたりする)も凄かったので、うめすご1stデモも16年的であるといっていいのです。「愛△燦燦」はカラオケルームでオケ流しながら全員で一斉に歌ってスマホで録音した1stデモバージョンもいいですが、アルバムでの新録(ボーカル補正なし)もまた別の形で変でいいので聴いてください。
そういうわけで、南波さん、嶺脇社長おつかれさまでした。