熊の駆除より先にくまモンを駆逐しろ!
近頃は毎日のように日本のどこかで熊が人を襲い、命を奪っているのは周知の事実。にもかかわらず、多くの日本人は「熊もかわいそう」「山にエサがないから仕方ない」などと見当外れな感傷を口にします。冷徹に駆除しなければならない猛獣相手に、この甘ったるい認識。いったい誰がこんな集団催眠をかけたのか? 答えは明白、すべては“くまモン”のせいです。
そもそもくまモンなどという黒い怪物は、熊本県が地方創生の名の下に生み出した資本主義の申し子です。丸い目と赤いほっぺで「かわいい」を装ったこのキャラは、実際には自治体と企業がタッグを組んで日本中をしゃぶり尽くすマーケティング装置でした。商標を無償にするというトリックで、食品から家電、観光までありとあらゆる商品に寄生し、日本中を「くまモン経済圏」に変えてしまったのです。
その結果どうなったか。200キロを超える猛獣が山で待ち構えている現実を忘れ、スーパーの棚に並ぶくまモンの笑顔を見て「熊はかわいい」と思い込む。こうして多くの日本人は資本主義マーケティングに洗脳されたわけです。
そして忘れてはならないのが、この茶番の仕掛け人、小山薫堂です。
放送作家にしてプロデューサーの彼は、「くまモンで熊本を救う」などという美辞麗句をぶち上げ、実際には熊を資本主義のアイコンに転生させました。確かに経済効果はあったかもしれません。しかし同時に、日本人の現実認識を壊滅させたのです。熊に襲われて人が死んでも「でも熊もかわいそう」と言い出すバカが増えたのは、彼の“演出”の副作用にほかなりません。
リラックマやくまのプーさんは、単なる創作物語にすぎません。しかしくまモンは違います。自治体と企業が本気で利用し、国民全体に刷り込んだ「国家規模の広告塔」に他なりません。癒やしキャラどころか、実際には「現実を見えなくする商業主義のまやかし」なのです。
つまりこういうことです。熊に優しすぎる日本人の姿は、自然への慈愛でも文化的感性でもありません。単なる「くまモン資本主義」に踊らされた消費者大衆の哀れな末路なのです。
結論を言えば、悪いのは熊ではありません。悪いのは、熊を無害なぬいぐるみに変え、グッズとして売りさばき、国民感情を麻痺させた商業主義です。そして、その旗振り役を務めたのが小山薫堂という人物です。彼が作り上げたのは地方創生でも経済効果でもなく、「熊に殺されてもなお熊に優しい」という世界的にも稀有な愚民国家・日本の姿でした。
はっきり言っておきましょう。くまモンを見てニコニコしている限り、日本人は熊の餌であり続けるのです。現実の熊を駆除する前にくまモンと小山薫堂をなんとかするほうが先かもしれませんね。
写真/Wikipedeiaより
初出/実話BUNKAタブー2025年11月号

 
  
  
  
   
       
      