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『陰謀論と排外主義』という今読むべき本:ロマン優光連載369

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藤倉氏は反カルト的な立場から、陰謀論ウォッチャー勢は陰謀論批判の立場でリベラル政党・左翼政党も批判することもあるし、「政治思想」的な党派性で企画された本というわけではないのだ。

寄稿者の中にも突き詰めれば、互いに相容れぬ部分が出てくる人たちもいると思われる。

事実ではない情報によって広がっていった各種陰謀論が排外主義と結びつくことでそこに統合されていっている現状があり、そういった日本の社会の根源を揺るがしている問題についてのレポートであり、研究である。

黒猫ドラネコ氏のニュースレター『黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】』の20251129日号には、この本の担当編集者であるT氏のインタビューが掲載されているが、この本が「政治的思想」から生まれたのではなく、社会に増加していく差別的な空気に対する生活人としての疑問から生まれたことがうかがえる。

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「この人はちょっと」という意見

この面子を見たときに「この人はちょっと」という意見が出てくることもあるだろう。

菅野氏を10年代初頭から観察してきた人の中には、彼の能力は評価できても人間として信用ならないと思っている人もいるだろう。

藤倉氏の「動物はおかずだ歩き食い祭り」(動物の権利と食肉反対を訴えるデモに対して、肉を食べながらデモ隊の周囲をついてまわる)にみられるような悪趣味サブカル的部分に批判的な人もいるだろうし、陰謀論ウォッチャーなど所詮サブカル的な悪趣味なヲチ趣味でしかないと懐疑的な人もいるだろう。

しかし、執筆陣の並びに違和感をおぼえる人たちも、そういった人物たちでもちゃんとしたことを言わなければならないぐらい危機的な状況にあるということの表れだと思って読んでほしい。

趣味として奇妙な陰謀論者を観察して楽しんでいたような陰謀論ウォッチャーが危機感を覚えるぐらい悪質で楽しめない陰謀論が蔓延し、排外的デマを使って人々を煽り動かしていくことがビジネスになり、そのことが社会を蝕もうとしている。それは本当に怖ろしいことだと思う。

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