2016年のアメリカ大統領選挙中にQアノンの手によって広められた陰謀論で、民主党の大統領候補であったヒラリー・クリントン陣営の関係者が小児性愛や人身売買に関わっており、その拠点があるピザ店の地下室であるというもの。
ピザ店に対する嫌がらせが続く事態となり、この話を信じた男が子供たちを助けるために店に乗り込み銃を発砲し逮捕されることにまで発展した。この発砲事件の捜査の過程でピザ店に地下室はなく、噂は事実無根であると発表。メディアでの検証もすすみ、鎮静化したのだが、「エプスタイン文書」の大量公開にともなって、あれは全部事実であったという主張がネット上で見られるように。
文書内に「ピザ」という単語が大量に見られ、「ピザ」とは小児性愛犯罪の隠語であるということが根拠のようである。
ちなみにフェイクニュースやデマの拡散を防ぐことを目的としたアプリ・「NewsGuard」によるとピザは842件の文書で使用されていたが、サラダは1029件、スープは677件、サンドイッチは552件の文書で使われていて、ピザゲートに触れられている文書は2件。
そもそも「エプスタイン陰謀論」もQアノンが形成していったものだが、過去の既に死んでいる荒唐無稽な陰謀論が、実在の事件を取り入れた陰謀論を利用して息を吹き返そうとした例だ。
ピザゲートは民主党(やリベラルやグローバニズム)に対するネガキャンとして作用していたわけだが、ビル・クリントン元大統領とエプスタインの接点によって彼の犯罪への関与が疑われ、「エプスタイン陰謀論」もまた民主党(やリベラルやグローバニズム)を悪魔化するものとして作用しており、それがトランプ再選に結びついていったわけだが、トランプ大統領自身もエプスタインと交流があったわけで、都合のいいものしかみないという陰謀論の特徴がそこに顕著にみられる。
「エプスタイン文書」の一部の黒塗り、彼らが求めていたような情報がないことなどから、トランプ大統領を支持してきた「エプスタイン陰謀論」信奉者の一部からも大統領に対する不信の声が上がっている。
トランプ氏に都合の悪い事実を隠しているという疑惑も生まれ、本当にこれ以上の資料がなくて出せないのか、それともトランプ氏が何か隠しているのか(そういうことをやりそうな言動を繰り返してきた人物ではある)、可能性はどちらにもあるわけだが、どちらにせよ陰謀論者を利用してきたトランプ大統領が陰謀論者に困らせられるのは皮肉なものである。
