衰退し続けるジーンズ産業
Gパンが売れない――現在、デニム工場がどんどん閉鎖、廃業続きの真っただ中だということをご存知だろうか。
国産ジーンズブランドがもっとも盛り上がっていた1980~1990年代前半ごろ。街ゆく若者のほとんどは、エドウイン、リーバイス、ビッグジョン、ボブソン、ラングラーらのジーンズで下半身を覆っていた。
しかし、今や、日本初の国産ジーンズメーカーであるビックジョンは国内自社工場生産打ち切り。日本デニム産業の本山・岡山の雄、ボブソンは昨年末に自己破産を申請(現在は創業家がブランドを買い戻したものの、あまり旗色はよろしくない)。さらには、ブラッド・ピットの「503」なCMが懐かしい、国内最大手のエドウインは、昨年に年商レベルに巨額な損失隠しが発覚。粉飾決算は10年以上続いていたという。リーバイ・ストラウス・ジャパンも国内の独自企画をほとんど打ち切り、もはや米国本社の傀儡企業…などなどと、まさに惨憺たる現状なのだ。
いったいどうしてデニム業界はこんなに激しく衰退してしまったのだろうか。
ユニクロをはじめとする低価格ファストファッションが打ち出す、1000~3000円程度のデニムが市場を圧迫しているとの説が一般的だが、ここでは、洋服のトレンドを現場で眺めてきたショップ店員たちに、話をきいてみた。
普通の若者はジーンズを穿かない
「まず、最近の若者ってジーンズをいてないですよね。ここんところずっと、ぜんぜん流行ってないです」(33歳、男性、某セレクトショップ勤務)
「とはいえ、デニムシャツとかデニムジャケットとかは着てるんですよ。でも、確かにジーンズは微妙ですね。まぁ、普通に、パンツの1アイテムとして使ったりはしますけど、チノパンや軍パンの方が、ずっと使い勝手がいいでしょう。僕らが高校生のころにいたような、年がら年中ジーンズを穿いている人ってのは、あまり想像できない」(29歳、男性、某国内ブランド勤務)
「古着マニアは?」(31歳、女性、某セレクトショップ勤務)
「そんな人、今どきいないでしょ?」(前出・29歳男)
「じゃあ、変なヴィジュアル系バンド流れの中2男が、奇妙なダメージ加工がしてあるダサいジーンズを穿いてたりするのは?」(前出・31歳女)
「いるな(笑)。後はおっさんでしょう。今の50~60代なんですかね。あの、オヤジのGパン信仰は。ブヨブヨの腹を無理矢理、固い生地に押し込めてるのって、辛そうにしか見えません」(前出・33歳男)