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弁護士目線で見た松本人志氏の訴訟:米山隆一連載6

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昨年末、『週刊文春』で松本人志氏のスキャンダルが報じられて以降、多くの人が訳知り顔でこの騒動について語っています。弁護士でもある米山隆一衆議院議員は松本氏が訴訟を起こしたことについて、どう見ているのでしょうか。

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第6回:弁護士目線で見た松本人志氏の訴訟

松本人志氏への文春砲がさく裂して以来、この問題は様々な議論を呼んでいます。私がこの問題に口を挟むのは、前回の「年の差婚」に引き続いてかなり勇気のいることですが、しかし『実話BUNKAタブー』ではそういう内容が期待されているのだろうということで、弁護士目線で松本氏の今般の訴訟を解説してみたいと思います。

まず、1月22日に松本氏が文藝春秋に5億5000万円もの賠償を求めて訴訟を提起したのは、かなり危ういことだと私は思います。週刊文春のスキャンダル暴露の是非は意見が分かれるとして、敵(?)もさるもの、記事を読む限り文春側は慎重に被害女性の証言・主観だけを書き、それが性加害/性犯罪に該当するかについての記載は慎重に回避しています。一方で、記事にある「一般の人が眉を顰める様な愚行」については松本氏も吉本興業も否定しておらず、何処までかはともかく、一定の事実が存在したことが比較的強く予想されます。

そのような状況で松本氏側は「記事に記載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく、およそ『性加害』に該当するような事実はない」としていますが、文春側は「一般の人が眉を顰める様な愚行」は事実であり、その上でA子さん、B子さんから詳細かつ具体的な証言を得た以上、「真実と信ずるに足る相当の理由があった(真実相当性)」と主張し、それが認められれば、仮に真実とは言えなくても、裁判で勝てます(松本氏が敗訴します)。そうなれば、何であれ世間は「記事に書かれたことは全て真実だった!」と捉えます。その認識が流布した後で、それを訂正するのは極めて困難になるでしょう。

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名誉棄損訴訟は、そういう、「(真実相当性等で)その言論では名誉棄損は成立しない」という敗訴判決が、「その言論(更にそこから受ける印象)が全て真実だった」と捉えられる「敗訴リスク」があり、提訴するべきかどうか慎重に検討すべきなのですが、今回の松本人志氏訴訟ではそれが為されたのか疑問が残ります。

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