310回 なぜ 『からくりサーカス』がトレンド入り?
『からくりサーカス』(藤田和日郎)がなぜかX(旧Twitter)でトレンド入りしてる? 今は2024年10月だというのに20年ぐらい前の漫画が、突然なぜ?
こんなふうに思った人も多いかもしれない。だいたい藤田先生自体が驚いていた。
これはKindle上で『からくりサーカス』全巻がセールされていて、ほぼ50%ポイント還元の対象になっていたことが話題になり生じた現象だ。ちなみに筆者はこれを機会に電書で買いなおした。トレンド入りを記念して、小学館のデジタル漫画サービス「サンデーうぇぶり」のアプリ版で1日限定全巻無料読み放題というイベントが10月2日に行われたが、全43巻にわたる大長編を1日で読み終えることができた人間がどれくらいいるのだろうか。読み切れないまま無料期間が終了し、続きが気になってしょうがなくなって、ついつい単行本を購入してしまった人も多いだろう。そうなっても仕方がない。なぜなら面白いから。
父から莫大な遺産を相続したことで親族から命を狙われることになった気弱な少年・才賀勝。ひょんなことから、それに巻き込まれ勝を助けることになった拳法家の青年・加藤鳴海。勝の祖父・正二のいいつけで勝を守るミステリアスな人形使いの女性・しろがね。あやつり人形を武器に戦う人形使いたち。世界に蔓延する奇病・ゾナハ病。世界各地に現れては人々を殺戮してまわる奇怪な自動人形(オートマータ)と彼らによって運営される謎めいた真夜中のサーカス。勝やしろがねの出生の秘密。自動人形(オートマータ)誕生の謎。暗躍する黒幕。数奇な運命に導かれた勝、鳴海、しろがねの3人のたどり着く結末とは!?
内容をざっと説明しようとしてみたが、なにぶん長大で複雑な物語(構成自体も過去と現代、勝と鳴海など入り乱れていて複雑である)なので説明できているかどうか自信がない。
自分のつたない説明では伝わらないかもしれないが、本当に面白い作品であり、多くの人に読んで欲しい作品だ。
(ここからは既読の人に向けて書いた部分が多く、ネタバレが含まれる部分があるので、未読の人でそれがいやな人は読まないでください)
大好きだし、本当の面白い作品だと思っているが、非のつけどころがなく手放しで傑作であると言い切れる作品かというとそうでもなく、かなり歪な作品でもある。また、物語がなかなか進んでくれないという特徴もある。