331回 最近の企業アカの悪ノリがツライ
日本郵政のXアカウントがX上にアップした「絶対にすっぴんを見られたくない女VSなんとかサインをもらわなければいけない配達員」という動画に批判がよせられ、これを削除、謝罪するということがあった。
実際の動画を観てみたのだが、「自意識過剰の女性客に引っ張りまわされる配達員」コントといったところで、痛い女いじりみたいな内容である。「ゆうパック」配達時の受領印・サインを2024年10月以降省略しているという、ようするに置き配で、今はやってるということを広めるのが目的の動画だということだが、あの動画の内容では客が困った人みたいであって、なんで客をバカにするような動画をあげて宣伝になると思ったのかわからないし、「こういう痛い女っているよね」みたいなことをやっていたら、女性を馬鹿にしているのではという抗議が来ても何も不思議ではないのに、それに気付かなかったのだろうか。
昨年、郵便局員を装った男が女性宅に押し入って金を奪い強姦した事件もあり、一人で在宅時に配達員を名乗る人間と応対することに不安をおぼえ、警戒している女性も居るだろうに、「スムーズにサインをもらえない女性客はこんな女」みたいな動画をつくってたら、そういう人をバカにしているようなものではないか。
芸人がコントでネタをやるのと、日本郵政という郵便配達を業務とする半官半民の企業がこの動画を制作するのでは意味が違ってくる。芸人がネタでやれば変な人によっておこされるトラブルを扱ったコントにすぎないが、日本郵政がやれば客をバカにしている意味を持ってしまう。そこにも鈍感すぎではないかと思う。
この動画の制作には、『こねこフィルム』という過去に痴漢冤罪を題材にした動画で軽い炎上騒ぎをおこしたクリエイター集団が立ちあげた動画レーベル『こやぎフィルム』が関わっていた。ようするにネットの「女叩き」ムーブメントに乗っかってバズろうとしていたところであり、そこに制作を依頼したのは「女叩き」っぽいのをつくってほしかったのだろうか。
日本郵政が炎上狙いでなんかやって話題になっても、別にいいことがあるとはとうてい思えない。いまさらバズって知名度をあげようとする必要もない。半官半民の公共性の高い事業であり、色々な趣味嗜好思想信条の人が利用しているわけで最大公約数を考えてやるべきなのに、特定の層を馬鹿にしているかのようにみえることをやっていたらリスクの方が高いだろうに。