64本目・『空の大怪獣ラドン』その3
怪獣と恐竜は似てるが違う。
怪獣は空想の生き物で恐竜はおおむかし、本当にいた。
なので怪獣は見た目もかなり変わっててもいいし、生き物的にオカシイだろーみたいなギミックがある。
その点、恐竜はリアルだ。ほんとうにいたのだから生物だ。すんごい変な見た目でもない。ドリルがついてたり目が光ったり口から火を吹いたりはしない。怪獣はそれが自由だ。どうにでもなる。
が、ラドンの場合、かなりストイックである。
ほとんど恐竜である。
翼竜というタイプの恐竜である。
特別なギミックはない。
が、低空飛行した場合、もうれつな突風が周囲に発生する。羽ばたきと空気の振動と、まあいろいろな風が発生する。
屋根の瓦がぶわーっとめくれて飛んでいく。一枚ずつ、ぶわーっと飛んでいく。ミニチュアを作って撮影しているわけだがおつかれさんです。好きでなければできない作業である。
長崎ではその当時、世界的な観光地であった巨大な橋を突風で破壊した。
福岡では繁華街をめちゃくちゃにした。
羽ばたいたり飛んだりして発生する風でほとんどを破壊した。
悪気はなかったのだろう。だからといって許されるものではないがまあいろんな意味で憎み切れない。後の映画ではゴジラよりも人間ができている感じだった。老成した感じかもしれない。善人を演じるときの加藤嘉が近い。大滝秀治ではない。女性だと善人を演じるときの江波杏子のようにJは思っている。以上です。(この項、おわり)
『空の大怪獣ラドン』(1956年/東宝)
製作/田中友幸
原作/黒沼健
脚本/村田武雄、木村武
撮影/芦田勇
美術/北辰雄
音楽/伊福部昭
特技監督/円谷英二
監督/本多猪四郎
※杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売中!
<隔週金曜日掲載>
画像/『空の大怪獣ラドン』のポスター
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA


