PR
PR

自分の一番好きなアイドルはTIFに出てない:ロマン優光連載251

連載
連載
PR
PR

地上の人気があるアイドルのオタクでTIFを見に行く人は滞在時間の大半を自分の好きなアイドルを観るための並びや待機に費やすわけで、別に他のアイドルを観ることもあまりないだろう。そういう人にとってのTIFは、TIF自体にわいている人たちのそれとは全く違うものだろう。別にそこまで人気がなくても、自分が普段見ているアイドルを中心にスケジュールをたてたら、見たいものを自由に見に行けるような感じにはならないこともある。そうなると、あまりフェスならではの特色とでも呼ぶべきものがなくなってしまう気がする。

TIFから産まれた物語・伝説のたぐいはたくさんあるのだが、そういったものはオタクと推しさえいれば、どんな場所でだって生まれると私は思っているので、TIFだけが特別な場という実感がないのだろう。ようするにTIFに対する「信心」が足りないのだ。

TIFには売れているアイドルが出ているが、出演しているアイドルがみんな売れているアイドルというわけではない。出演することで動員が増えたりチャンスをつかんだグループもあれば、何ら状況に変化のなかったグループもある。チャンスを掴んだグループには一定の傾向があるように思うし、何の状況の変化もなかったグループが悪いグループかというと必ずしもそうではない。いいグループなのだけど、TIFに行くことを重要視している層の好む傾向と合ってなかっただけということもよくある。

アホすぎるビッグモーターの記者会見:ロマン優光連載250
250回 アホすぎるビッグモーターの記者会見 ビッグモーターの不適切な保険請求の件に関する記者会見。会見を通知する書面に危機管理専門のPR会社の名前もあり、そこの指導のもと行われたらしいのだが、最近では稀にみる、ひどいものだった。 あの会見をみて「これはひどい。弁護士なりなんなり、専門家と打ち合わせてからやってないのか...

毎年出演しているベテラングループの中には新しいグループにお客が流れるきっかけを作ってるだけでメリットは何もないのだが、事務所の若手グループを出演させるために出なければならないようなグループもあるという。TIF出演が義務のようになっているグループと、そこを目指して活動してきて初めて出れたグループの見ているTIFは違う姿をしているのだろう。

しかし、TIFが存在していることには意義はある。TIFに出演することがアイドルとして認められた証明であると感じるアイドルがいて、それがひとつの道標となり、活動のモチベーションに繋がっているのであれば、やっぱり必要な存在なのだと思う。あれがあることで活動を続けられる人がいるのだから。まあ、シーンの細分化によってTIF出演に全くメリットを感じない人や興味すらない人が出てきていたりもするのだけれど、それでもTIFは大多数の現在成功していないアイドルにとって重要な存在なのは変わらない。

今年のTIF情報で感銘を受けたのは、福岡のアイドル・RATEL OF LOVEの元メンバーのホルモン有さんが上京後に加入したスーパーマカロニサラダのメンバー・絶品!ホルモン有としてTIFに出演が決定したことで、色んなことがおこるもんだなと思う。「OPEN THE 脳」のホルモン有さんパートは最高だったし、「OPEN THE 脳」は本当にいい曲。

 

〈金曜連載〉
写真/長らくTIFの会場であり続けているフジテレビ湾岸スタジオ。Wikipediaより(撮影/Itoshin87)

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

↓ロマン優光の連載記事・個別記事はこちらから↓

タイトルとURLをコピーしました