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39本目・『野獣死すべし』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載66

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39本目・『野獣死すべし』

他人の夢の話を聞いてもつまらないと思いますが書きます。すみません。

夢の中で私は会社員。

なにかの目的で社内でドラマ仕立ての動画を作らなければならなくなった。それもその日のうちに。

動画の中心は松田さんにやってもらおうと思っていた。

なんとなく内容も決まり、いっしょに出てもらう社員も決まり、松田さんの部署を訪ねると同僚の女性が、

「あら、松田さんは今日、休みですよ」

と笑顔で答えた。

「えーっ」

困る私に、

「どうしたんですか」

女性が言ったところで目が覚めた。

松田さんは夢の中に出てきてないが夢の中の私の頭に浮かんでいたのは松田優作である。

困ったな、松田優作でなければ動画にならない。さて、代役はいないがしいて言えばほかの部署にいる彼かな、と夢の中で私の頭に浮かんだのはマツモトクラブであった。

目が覚めてしばらくいや、どうしようか、マツモトクラブで行くか、それとも松田さんが出社してくる明日にするか、と考えていた。そして気が付いた。あ、優作さんは死んでいるのか。夢だったのか、と。

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映画『野獣死すべし』で優作さんは青森行きの夜行列車の中でリップ・ヴァン・ウィンクルの話をする。刑事役の室田日出男にする。弾が装填されたリボルバーを突きつけられて、一発ずつ、引きがねを引きながら話をする。室田日出男は冷や汗びっしょり、目は見開かれて痙攣している。一発ずつ、生と死の分岐点である。

3週間前。私は生と死の分岐点にいた。

私にとっては他のなによりも重大事だった。

またいつかはいずれ死ぬのだが今回は助かった。

死はすぐそこにあった。

ほとんどそこにいた。

いま優作さんを。室田さんを。近しく感じている。

マツモトクラブは生きている。夢の中で頭に浮かんだだけとはいえこれも近く感じている。

生と死はどちらも近くにある、いや、そこにいるのだ。

『野獣死すべし』(1980年・角川春樹事務所/東映)
出演/松田優作、小林麻美、鹿賀丈史、根岸季衣、前野曜子、佐藤慶、草薙幸二郎、安岡力也、山西道広、トビー門口、江角英、関川慎二、相馬剛三、清水宏、友金敏雄、草薙良一、浜口竜哉、二家本辰己、小宮山玉樹、岡本麗、泉谷しげる、鶴岡修、清水国雄、加藤大樹、風間杜夫、岩城滉一、阿藤海、林ゆたか、青木義朗、室田日出男
製作/角川春樹
原作/大藪春彦
脚本/丸山昇一
撮影/仙元誠三
照明/渡辺三雄
録音/福島信雅
美術/今村力
編集/田中修
助監督/小池要之助
擬斗/松尾悟
テクニカルアドバイザー/トビー門口
音楽/たかしまあきひこ
音楽監督/鈴木清司
演奏/東京交響楽団
指揮/村川千秋
ピアノ/花房晴美
テーマ曲演奏/岡野等&荒川バンド
プロデューサー/黒澤満、紫垣達郎
監督/村川透

<隔週金曜日掲載>
画像/上記作品DVD

PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OTOKONOHAKABA

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