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あのちゃんについて:ロマン優光連載145【2019年10月4日記事の再掲載】

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145回 あのちゃんについて

あのちゃんがゆるめるモ!を脱退するという報告を見た時、今後はアイドルと呼ばれるような領域での活動をすることはないのかな、という感想を抱いた。あのちゃんのような世界と折り合いがつけにくい潔癖な人が、アイドルという虚構の世界を守るためのある種の本音と建前が横行する場で5年以上活動をしてきたことは凄いことだ。もっと早くに辞めていてもなんら不思議ではない。

あのちゃんという人はアイドルの領域を押し広げた人、アイドルの概念に革新を起こした人だ。それは、ある意味、ももクロ以降の流れの中でも、BiSやBABYMETAL、でんぱ組.incよりも大きなものかもしれない。

他のグループが、その音楽性やキャラクターで、受け手の意識に対してアイドルという概念の領域を新しいものに広げたとするならば、あのちゃんが一番影響を与えたのは、アイドルになろうとする女の子たちの意識だ。もちろん、あのちゃんの個性に新しいアイドルの姿を見出だした受け手も多いだろうし、そういった面での影響も大きいだろう。しかし、従来のアイドルに憧れたりはしなかったであろうタイプの女の子、アイドルが好きだとしてもアイドルになろうとはしなかったであろうタイプの女の子が、自分の中の名付け得ない何かを人前で表現するための場としてアイドルという領域を選ぶようになったこと。それに対するあのちゃんの影響というものとは比べものにならないだろう。

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あのちゃんに興味がなかったり、ゆるめるモ!というグループに好感を抱いてなかったようなアイドルオタクが、あのちゃんという存在を通してアイドルの形というものを認識したような女の子たちがアイドルになっていくことで、彼女たちの誰かを知り、オタクが意識するしないに関わらず、そのアイドルと接することで間接的にあのちゃんという「スタイル」を刷り込まれていくような現象があったわけで、それはすごいことだったと思う。

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