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あのちゃんについて:ロマン優光連載145【2019年10月4日記事の再掲載】

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芸能系の事務所ならば、あのちゃんのようなSNSでのあり方は到底許されないだろう。あのちゃんという個性のあり方は芸能的なノウハウを持たない新興のサブカルアイドルグループであったからこそ成立したものだ。初期ゆるめるモ!の本来アイドルではない人がアイドルをやっている感じ、同時に本来アイドルではやらないような楽曲をやっているのにアクの強くない感じが、あのちゃんがアイドルになるためには必要だったのだと思う。そこでしかアイドルになれなかった人と、そこでしかアイドルにならなかった人が交錯する場であのちゃんは我々の認識しているあのちゃんになっていった。メンバーとの関係性がどのようなものであったとしても、あのメンバーたちとの関係性があって成り立っていったものだ。それはやはり必然というものであり、ゆるめるモ!でなければならなかったのだろう。

あのちゃんからの影響からアイドルになった女の子と言っても色々な形がある。素直にあのちゃんのようになりたいとただただ無邪気に憧れている子。あのちゃんに近い資質を持っていた女の子が、あのちゃんの存在を知ることで自分もできるはずだと思い始めた子。あのちゃんに憧れて始めたのだけれど、あのちゃんではない自分のスタイルを発見した子。あのちゃんになれない自分との葛藤であのちゃんに対するアンビバレントな感情の中で自分のスタイルを見つけようともがいている子。影響を口にすることもなくスタイルをパクる子。個人的な話だけど、あのちゃんよりも、たまたま資質が近いためにどうしても似てると言われてしまうことと戦っている子だったり、女の子が内なるあのちゃんに別れを告げるための「飛翔」を見ている方がなんとなく好きだ。それはクラッシュよりも、クラッシュに影響を受けたパンクバンドの方が好きなのと同じようなものなのかもしれない。

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地下アイドルの定義:ロマン優光連載258
自分の一番好きなアイドルはTIFに出てない:ロマン優光連載251

何年か前にたまに見に行っていたアイドルがいる。ゆるめるモ!とはほど遠い、古典的なタイプの芸能系の事務所の地下アイドル。その子は特にかわいいわけでもなく、歌パートもほとんどなく、ダンスもダメダメ。物販でも挙動不審でオドオドしているか、変に失礼か、どちらかしかないような子だった。当然、グループ内では不人気メンバーであり、オタクばかりかメンバーにも不人気で、年下のメンバーに客の前であからさまに下に扱われたり、バカにされてたりするような子だった。

高校生なのだけど不登校。両親は不仲で経済的にも苦しく、親からもろくな扱いを受けていない。友達もいそうにない。そんなあの子の憧れの人があのちゃんだった。本来、アイドルに向いてないあの子がアイドルになろうと思ったのはあのちゃんがいたからだった。何もかもが上手くいかない生活の中で、あのちゃんだけが光だったのだと思う。

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