私人逮捕系YouTuberについて考えると、正義感だけでやってるなら動画とか撮らずに単にやればいいと思うが、たとえばこの手のチャンネルの代表格である「ガッツch」のように、見ばえのする派手なアクションがある捕獲劇をわざわざやって、それを動画に撮って公開しているのはビジネスとしてやっているからなのだろう。
「犯罪者」という悪人を逮捕する大義名分で、本来であれば振るうことを許されない「暴力」(肉体的なもの以外も含まれる)を合法的にエンタメ化しようとするものであり、「犯罪者」が痛め付けられるのを見てスッキリする懲罰ポルノとして機能しているのが私人逮捕系の動画だと自分は感じている。やってる方は正義の名のもとに本来だったらやってはいけないことを堂々とできるし、見ている側は相手が悪人だということで罪悪感を持たずにこころおきなく「暴力」を楽しむことができる。
ネット上で叩いてもいい人間を見つけてはバッシングを楽しむような劣情に応え、法のグレーゾーンをうまくついた、よくできたコンテンツだと思う。狙う犯罪者(犯罪のタイプ)も、プロの犯罪者として生きている人間や完全に社会の外に生きているような人間ではなく、自分の犯罪が世間にバレたら全て失ってしまうような人間だから、YouTuber側が圧倒的に有利にことを進められるし。
私は私人逮捕系の動画コンテンツが好きではないのだが、そういう好き嫌いの話とは別に疑問を感じる部分がある。それは多くの人が気になっている部分だ。
「ガッツch」の動画に対してやりすぎだという声があるが、ああいうことをしていて何かの拍子に相手が重傷をおったり、死んだりしたらどうするのだろうと思う。
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また、犯罪をおかしていると勘違いして、何もやってない人を犯罪者として動画で晒したり、身体的に痛めつけたりしたら、どう責任がとれるのかと思う。
このふたつがダブルで起こることだって起こる。
これは通常の私人逮捕でも起こる可能性があることだが、配信のために意図的に回数をこなす状況だと、 何もしてない人を犯罪者と誤認する可能性はさらに増えるだろうし、飽きられないために内容がエスカレートしていく可能性もあるだろう。
煉獄コロアキの〝誤認〟私人逮捕
そんな中でおきたのが、煉獄コロアキ氏が、アイドルのコンサートのチケットを転売している人間だと誤認した女性を囲んだり追い回したりした上で、女性の動画を転売ヤーとしてモザイクなしで晒し、「パパ活女子」などと根拠のない誹謗中傷。名誉毀損の疑いで逮捕されることになった。多くの人の心配が現実になったといえるかもしれない。
このことの重大性はいうまでもない。