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『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』はもったいない:ロマン優光連載275

連載
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人類が誕生する以前に栄え、強い霊力を持つものの、争い事を好まないために人類に地下に追いやられた先住種族・幽霊族の末裔であるゲゲ郎は風変わりで浮世離れした奇妙な青年として登場する。失踪した妻を探して放浪しているゲゲ郎だが、探し当てた妻に人間が与えていた仕打ちは悪辣にもほどがあるものであった。それでもゲゲ郎は人間自体を憎んだりはしない。妻は人間という種族を愛していたと語り、人類に対して傍観者でしかなかった彼を変えたのが妻の影響であったと示される。妻に対する愛、滅びゆく種族ゆえの諦念、他者に対する優しさ。ゲゲ郎はそんな男だ。

そんな水木とゲゲ郎が出会ってから別れるまでの数日間を描いたのが 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 だ。

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世俗にまみれた野心家の水木と浮世離れしていて愛に生きているゲゲ郎は対称的に見えるし、交わるところがないように思える。当初、水木の方はそんなゲゲ郎を軽蔑してさえいる。そんな2人が徐々に打ち解けていき(2人の距離が縮まったことをあらわすのに、もらい煙草という行為が効果的に使われている)、弱者を踏みにじる理不尽な権力への怒りという共通した想いを胸に互いに寄り添い、今後の人生の中で得ることはないだろう親友として別れる。ゲゲ郎が人類に味方する新たな理由を残して。

いや、ほんといい。2人のバディ感、すごくいいのにこれで終わりとは。

全体的にベタなところも多い。泣かせにきてて、しつこいと感じるところも多い。

水木が記憶を失った後の台詞、あれなんかはベタすぎる。ベタすぎるし、露骨に泣かせにきてて汚いけど、まあ泣くのは仕方ない。普通に作品として評価したらダメなところだが、2人の関係に感情移入してしまったならば、あれも仕方ないのだ。

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