PROFILE:
谷本真由美(たにもと・まゆみ)
1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X(旧ツイッター)上で「めいろま」として舌鋒鋭いポストが注目を集めている。累計48万部の『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックスPLUS新書)など著書多数。
■X(旧Twitter):@May_Roma
マスコミが報じるイメージとのギャップ
外国人が激増している最近の日本では、いわゆる移民街が増えてきており、日本列島を破滅に導きかねない邪悪な場所なのでけしからんという意見が、ネトウヨと年寄りを中心に盛り上がっている。
そして、ネトウヨに負けず劣らず、愛国心と義憤を抱えた我々取材班は、8月のクソ暑い最中、外国人集積地帯に突撃することを決定したのであった。このクソ暑い最中にさらにクソ暑いと思われるダサイタマに突入するというのは、川口浩探検隊を越える勇気である。
しかし愛国者は弱音を吐いてはならないのである。
その日、我々取材班は新宿から日本でも有数の外国人タウンと言われている埼玉県蕨市、通称「ワラビスタン」に車で向かった。車で向かったのは暑いからとか歩きたくないからではなく、我々愛国者の安全を確保するためであることは強調しておきたい。
ちなみに筆者は、日本よりも簡単に取得できるアメリカでの運転免許試験にすら3回も落ちるという危ない人間なので、運転は某編プロの社長様が担当。ライターのNさん、そして「ダサイタマに行きたい」と言う日英ハーフの小学校低学年の息子も同行した。日本の地理を学ぶ外国の小学生が、埼玉をすでにダサイタマと認識しているのはいかがなものかと思われるが、現地を見て正しい知識を身に付けていただくことを期待したい。
実は筆者は「移民集積地帯! それはやばい!」というイメージを抱いていたので、かなりビビっていた。それは前提が欧州や他の国の「移民集積地帯」だからである。他の国の場合は修羅の国状態のケースが多いのだ。筆者の身を心配するイギリス人夫は「あなたボディカムはつけましたか…。いざという時のために安全靴とボディーアーマーを着用してね。でもあなたトロすぎて走れないから、いざというときは諦めなさいね…」という冷たいコメントを残して電話を切った。
しかし実際の蕨市はマスコミが報じているイメージとはかなり違った。高度成長期時代に建てられた住宅をつぶして、新築の家を建てまくっているようだ。