掃除に同行したクルド人の大学生が、ビラをもってコンビニの店内へ入っていく。そして彼はレジにいる店員にビラをわたし、何かをお願いしている。ビラにはゴミの分別を促すイラストが入っていて、文字が読めない人もわかるような工夫がされていた。
10台以上停められそうなコンビニの大きな駐車場には解体屋のトラックが放置されている。違法駐車だ、ということで、パトロール隊のクルド人たちが手分けして運転手へ連絡をとろうとする。すぐに退けてもらうためだ。しかし繋がらない。店の中にもいなかった。
その後、パトロール隊の車は東関道の高架下を横断し、市の北部へ入り、別のコンビニの前で駐車した。20代のトルコ系の若者が灰皿のないところでタバコを吸っている。
彼を見つけたパトロール隊の3~4人が彼を取り囲み、注意しはじめた。すると、その若者は逃げてしまった。何があったのだろうか。車が出るとき、 そのときの様子を注意した1人に聞いてみた。
「店の前でタバコ吸ったら駄目だよと注意して、携帯灰皿を渡しました。その後、写真を撮ろうとしたら逃げてしまいました」
それを聞いた僕は、彼らパトロール隊がいかに情熱的に活動しているのかということを理解した。
パトロール隊が最後に訪れたのは、東川口駅にほど近いアパートだった。大体の家には作業用の靴がドアの外に置かれていて、男性は日中、解体屋で働いていることが見て取れた。
建物の前には分別されていないゴミ袋だけでなく、電化製品など粗大ゴミがおびただしく乱雑におかれていた。日本語の他に英語やトルコ語でも「不法投棄は禁止」「分別するように」と書いてある。これらのゴミをパトロール隊は徹底的に分別して回収、最後には何もおかれていない状態になるまできれいにしていた。
そして一軒一軒をまわり、ゴミのマナーを説明する一方、生活の困りごとはないかを聞いていた。パトロール隊や取材など20人近くがやってきたので ちょっと戸惑っているようだったが、静かに聞き入れていた。彼らは今後、不法投棄を止めるだろうか。