だが、そうでないやつもいる。
大勢に流されないやつだ。我が道を行ってるやつだ。世の中がどうこうではない。この映画で言えば黒人を差別区別する世の中そのものもそもそもおかしいと思っている。つらいこと、ひどいやつらしか出てこないこの映画のなかに、たったひとり、ぽつんと現れる。たいしたやつではないようなやつだ。ぶらぶらしてる旅人。演じるのはブラッド・ピットである。やる気もあるんだかないんだか。
世の中はいつだっておかしい。
ただ、そのおかしさに便乗するかしないか。
俺はぜったいにしたくない。
俺はブラッド・ピットだ!
『それでも夜は明ける』(2013年/英米合作)
出演/キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ルピタ・ニョンゴ、ポール・ジアマッティ、ポール・ダノ、サラ・ポールソン、ブラッド・ピット、アルフレ・ウッダード
監督/スティーヴ・マックイーン
脚本/ジョン・リドリー
原作/ソロモン・ノーサップ
撮影/ショーン・ボビット
音楽/ハンス・ジマー
<隔週金曜日掲載>
画像/『それでも夜は明ける』DVDパッケージ
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OTOKONOHAKABA