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楳図かずお死去:ロマン優光連載315

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『洗礼』はもう言うまでもない傑作で母子の相克、美への執着、あかされる驚愕の真実と、人間の心の怖さが十二分に描かれている一方、ビジュアル面でのショック描写も強烈で多くの人のトラウマになっているのはよくわかる。どこか一か所について語ることができないというか、ただただ人間の心の歪みに引きずり込まれ振り回されるような作品だ。

中学から高校にかけて、それらの旧作と同時進行でスピリッツでの連載、『神の左手悪魔の右手』『14歳《FOURTEEN》』(『わたしは真悟』はスピリッツを読みだしたときは終盤でよく話がわからなかったので、後追いで単行本を読んだ)といった作品を読み、その常軌を逸脱したイメージに圧倒され、この人はどこまでいくのだろうとおもったものだ。

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上京してからも『こわい本』シリーズ、『イアラ』を夢中で読んでいた。これらの作品は、バンド関係の先輩(といっても当時の私はただの大学生の客だった)、FUCKERの谷口さん、DMBQの増子さんといった人と仲良くなって家に遊びにいくようになり、そこで読ませてもらったものだ。

『イアラ』は楳図作品では個人的に1、2を争うぐらい好きな作品だ。あのような壮大な愛の旅路を描いた作品を私は他に知らない。

単行本に収録されていた連作短編「烈願鬼」は非常に奇妙な味わいの作品で、私の人生観に大きな影響を与えた作品だ。どこがと言われると説明しにくいのだけど、あの作品の中で運命に翻弄されながら欲や衝動に突き動かされ、蠢く人たちの姿は、現実の私たちの姿に似て欲にまみれ、熱にうなされ、愚かしく、そして切ない。「烈願鬼とはお前自身なのだ」というラストの言葉がいつまでも心から離れない。

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