それが社会的に発生した差なのか、自然発生的に生じたものなのかの判別は困難ですが、プロスポーツ選手になりたいと思うか、思ったとしてどの競技を選ぶか、選んだ競技でどのようなパフォーマンスをあげられるかは人それぞれだし、観客の側でもどの競技の、男女どちらの試合を見たいと思うかはそれぞれです。それを「プロ野球は男女同数のチーム編成をしなければならない」「プロ野球は男女の試合を同数テレビ放映しなければならない」などと決めて、結果野球選手になりたい将来の大谷選手のような人が排除されたら、それは逆の男女差別でしょう。そのような在り様は、プロスポーツの魅力をなくし、その実力をむしろ低下させ、選手も観客も、誰も幸せにしないと私は思います。
政治も同じで、勿論現在数が少ない女性議員が政治の世界に入る障壁は可能な限り減らし、可能な限り条件をイーブンにしなければなりませんが、率直に言って「はげた偉そうなオヤジ候補」よりも「優しげな美人候補」を選ぶ有権者だって少なくなく、選挙において女性に有利なことだって多々あります。女性候補自身、ポスターの作成においては少しでも綺麗に映っている写真を使って、むしろ積極的に女性のアドバンテージを利用されている方々がほとんどで(わざわざ写りの悪い写真を使う女性候補を見たことがありません)、全ての男女差を法律その他でなくすことは、プロスポーツ同様、政治の魅力をなくし、その実力を低下させ、何より議員も有権者も、誰も幸せにしないと私は思います。
繰り返し、様々な不合理な障壁を減らし、男女がイーブンに参入し、イーブンに戦える状態を作ることはとても大事ですが、その状況が一定程度できたら、あとは男性だろうが女性だろうが関係ない、正々堂々戦って、結果男女差が生じたってやむを得ない、それは勝った人を称えようというのが、私はあるべき男女同権の姿ではないかと思います。
このBUNKAタブーの読者の皆さんが、掲載されている素敵なお姉さん方の雄姿(?)を称えておられるように。
文/米山隆一
初出/実話BUNKA超タブー2024年11月号
PROFILE:
米山隆一(よねやま・りゅういち)
1967年生まれ。新潟県出身。東京大学医学部卒業。独立行政法人放射線医学総合研究所、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、おおかた総合法律事務所代表弁護士などを経て、2016年10月に新潟県知事就任。2021年10月、衆議院議員選挙にて旧新潟5区で初当選。当選2回。立憲民主党所属。
Twitter @RyuichiYoneyama