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2024年ベスト:ロマン優光連載322

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事実の精査よりも「物語」を重視する傾向というのは、元来人間が持っているものなのだが、SNSによって可視化がすすんでいるのと、リアルではコミュニティから孤立するであろう人たちが結びつき、ある種の世論を形成するのが容易になったことで、年々目につきやすくなり、今後もその傾向は変わらないだろう。これは政治思想とかとは関係なく、どこででも見られることである。

また、自分の少年期・青年期に影響を受けた楳図かずお、火野正平、ダモ鈴木といった人たちの訃報が相次ぎ、その人たちが早世というわけでないことに、いよいよ自分が老境に近づいているという事実を再確認させられた。

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リスト発表!

老境が近づいたことで改めて思うのが、コンテンツ自体の社会における在り方を意識することを忘れないようにしながらも、自分のために趣味をきちんとやっていくということ、シーンなどということを気にせず独自でやっていこうということだ。

今年という年は漫画をよく読んだ年であった。ついに携帯をスマホにかえたこともあり、特にWebオリジナルの漫画や韓国産Webtoonを多く読んだ。

宝島社から毎年発行されている『このマンガがすごい!』という年度ごとに各界の漫画好きが選んだその年のベスト漫画を発表する書籍がある。集計によるランキングと、個人による私的なランキングが掲載されているわけだが、今年発表された全ての漫画を読んだ選考者たちがその中からベスト漫画を選んだというようなものではない。年間に発表されている全ての漫画を読むことなんて、そんなことは不可能だから。シーン全体を把握していると称する人間がいるとしたら嘘つきでしかないだろう。これは「私が読んだ今年発表された漫画の中で優れていると思った作品」を発表する場でしかない。多くの個人選考者はこのことに自覚的であり、誠実に私的なランキングを発表しているが、世間的に取り沙汰されるのは集計されたランキングのほうである。もちろん、個人選考者のランキングに名前が入らない漫画の中にもすぐれた作品は当然あるだろう。

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