当時のSF小説界で若い女性作家の存在は珍しく、若い女の子というだけで年配の作家やファンがアイドル的にあつかってしまうということは、今の自分なら「おじさんにありがちな振る舞いだな」と思えるが、当時の自分は子供なのでよくわからず、「なんで、この人がアイドルみたいな人気があるの? 変」と思っていた。別に先生がグラビアみたいなのを撮りたかったわけではなかろうし、気の毒だと思う。
このSF界の若手女性作家アイドル化という悪ノリの流れが、大橋姉妹のグラビアに繋がっているのだろう。
ちなみに1984年に同じ別冊SFイズムシリーズからだされたSF作家・大原まり子氏のムック本『まるまる大原まり子(別冊SFイズム4)』でもグラビアページがあった。ちなみに私はとり・みき先生の『クルクルくりん』にでてくる大原まり先生が好きだったので、モデルの大原まり子先生の見た目も好きになり、それきっかけで作品も読むようになり、作品を好きになった。『未来視たち』が今でも好きだ。そういえば、とり先生やゆうきまさみ先生の界隈の内輪ノリにつられて、原田知世を好きになった読者も多いと思う。あのノリにつられて、当時(84年から87年くらい)の自分は界隈の作家・漫画家に対して異常に親近感をおぼえていたが、今考えると距離感が壊れていて恥ずかしい子供だ。
大橋姉妹のグラビアも一般層を狙ったものではなく、あくまで内輪でしか通用しないものであるが、これが商業出版という形でだされていたというのに時代を感じる。
当時のオタク界隈のノリがネットに移行
当時のオタク界隈のファンダムのこういった内輪ノリというのは現在のインターネット上のあちこちで見られる内輪ノリに似ているし、源流にあたるものなのだろう。『ファンロード』などは、まさに紙のTwitterのネタクラスタ、絵師界隈を思いださせる。発行元を変えつつ続いてきた『ファンロード』だが2012年以降に発行されてない。それはネット・SNS普及以前に果たしてきた同誌の役割がネットに移行してしまったことを意味するのだろう。