「1人っ子で小学生の頃から母親に虐待されていたんですが、中学時代のある日に突然父親からも暴力を振るわれたんです。その姿を見た母親は恐怖心から家を出て、その後は父と2人暮らし。ただ、父は中卒なので、『お前なんかが高校に行けるわけがない!』なんて暴論で私を高校に進学させてくれなかった。同時に、『16からでも働けるだろ!』と私にバイトを強いたんです」
父の指示に則り、可奈子さんは近所のコンビニなどの面接をいくつか受けたが、多くは「高校にすら行ってない人はちょっと……」と門前払い。そんな彼女を受け入れたのは、グレーな夜の店ばかりだった。
「それでガールズバーやスナックなどを転々としつつ、体も売り始めました。その後18歳になると、暴力ばかりの父にうんざりして、実家を出ることに。歌舞伎町のトー横に行ったり、ホテルや友達の家を転々としたりしてたんですが、だんだん安い部屋を1つ借りたほうが楽なんじゃないかと思うようになって、昨年6月に東京郊外にある4万2000円のワンルームを借りたんです」
安心できる住処を手に入れたかに思えたが、可奈子さんにとっては思わぬ負担が増えていったという。
「家賃のほかに、光熱費の類で1万円くらいかかる。そんなのホテル暮らしじゃかからなかったのに……とか思うと、だんだんと毎月そうした固定費の支払いに駆り立てられる感じがすごく負担に感じるようになったんです。同時に、急に身体が酒を受け付けなくなり、飲み屋の仕事もしんどくて働けなくなっちゃって。あと、もともと躁鬱も持っていて、精神的にも限界が来ていました。それで、以前から無料の食事や服の提供などでお世話になっていたボランティア団体・Colaboの人を頼ったら、生活保護を受けれるように申請してもらえたんです。生活保護に頼らなきゃいけないほど自分は弱い存在なんだって自覚したけど、一方で同世代でも生活保護を受けている知人がいたのでどこか安心感はありました」
可奈子さんが生活保護を受け始めたのは昨年9月のこと。月13万円ほどが手元に振り込まれているという。
「家賃と光熱費は変わらずで合計5〜6万円ほど。食事はコンビニやスーパーの出来合いのものが中心だけど、ちょいちょい友達とファーストフードとかにも行くので、月に2〜3万円くらいかかってます。タバコ代が月に5000〜1万円とかで、生活用品も多くて5000円くらいです」
ここまでの合計は多く見積もっても10万5000円。だが、可奈子さんにはある大きな出費があるそうだ。