「市販の風邪薬を使ったODを定期的にしないと、自分のメンタルが保たないんです。だいたい1箱2000円弱だけど、何回もするから月に数万円は飛ぶ。生活保護だから医療費はタダだし、本当は精神科でちゃんとした薬でももらえばいいのかもしれないけど、過去に精神科の先生に辛い気持ちを打ち明けたら『でも、若いんだし大丈夫でしょ!』って否定されたのがトラウマになっていて行きたくないんです。OD代は自分のメンタルのために削れないとはいえ、ちゃんと1人で暮らすのは初めてだし、いままではバイト代も親に全部とられてたからお金の使い方が下手な部分はあるなと自覚してます。できれば自炊とかも練習して、もう少しうまくお金を使いたいなとは思ってるんですけどね」
OD代を足すと、可奈子さんの生活保護費はあっという間になくなってしまい、受給日前に使い切ってしまうこともしばしばあるという。そな逼迫した暮らしのため、彼女は仕方なしにあるバイトをしていたという。
「今年1月からヘルスで働き始めたんです。風俗のなかには生活保護の子に理解のある店もあるし、給料も手渡しだからケースワーカーさんにもバレにくいんですよ。けど、やっぱりメンタル的にきつく、続いたのは1カ月半ほど。今はお休みさせてもらってます。でも、その期間でも20万円は稼げた。またお金に困ったり、メンタルが落ち着いてきたら復活しようかなと」
ひと口に生活保護といっても、受給額だけで健やかな暮らしを取り戻せる人だけではないのが現実だ。
文/田中慧
写真/写真ACより
初出『実話BUNKAタブー』2025年6月号