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批判が許されない映画『国宝』の気持ち悪さ

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 一般的に、実際現場で映画を作っていく「制作」の意味合いとは違い、作品のプロデュースや製作費の出資の役割を担うのが「製作」である。

『国宝』の場合、その製作には『鬼滅の刃』などのメガヒットアニメで知られる「アニプレックス社」と、今回が映画作品における初クレジットとなる「ミリアゴンスタジオ社」の2社が名を連ねている。

 だが、一体なぜ、アニメ系の最大手会社がクレジットされているのだろうか。

「ミリアゴンは、2023年にアニプレックスがそれまであった実写映画系企画会社を買収し、完全子会社化した上で改称された会社。アニプレックスはソニーミュージックエンタテイメントの100%子会社なので、要するにソニー傘下の曾孫会社という位置付けなのです。ソニーやソニーミュージック自体の売上高が段違いだが、アニプレックスの儲け方もえげつないレベル。同社は潤沢な資金力があり、のぶん大きな予算をかけた作品を作ることができたのでしょう」(前出・映画プロデューサー)

 豊富な資金力を持つアニプレックスは近年、フジテレビやTBSなどの局員の映画プロデューサーを数人移籍させるなど、人材の確保を急ピッチで進めている。

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「アニメ成金のアニプレックス=ミリアゴンが、その豊富な資金力をバックに人材を引き抜きまくっているというのが業界で噂になっていました。移籍なんて甘いものではなく、『テレビ局の退職金の倍額を先払いする』とか、カネにものを言わせて集めていると聞く。しかし、巨大なソニーグループのしがらみが多すぎるのか、『カネは良いけど自由に作れない』と不満を持って辞めた者もいます。23年に設立しているのに、その2年後に公開された『国宝』が初製作作品となったのもそれらの影響でしょう」(同前)

 酷評が囁かれる中、空前絶後の大ヒットを記録する『国宝』。

 一般的な日本実写映画の4倍相当にあたる12億円という破格の製作費を投下した末に、その見返りとして興収80億円超も視野に入ってきている。

 しかし、その裏では「結局は、アニメの力で作られた、アニメのおかげで成立した映画じゃないか」という声しきり。

 日本の実写映画界の未来は明るいものではないのだ。

 

初出/実話BUNKA超タブー9月号
文/大山糺

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